先輩の背中に３【岩泉一】

背中に77 ページ17

「木村、ここ座れ」

「あ、はい。」

二つ分空いてる席の奥側に座らせられ、その隣に岩泉先輩が座った


…あぁぁぁぁ！近い！

近いです、岩泉先輩


そう絶叫したくなった

肩と肩がぶつかりそうなくらい近い

メガネがなくても岩泉先輩の顔が見えるくらい近い

あと、明るいおかげで岩泉先輩の顔がよく見える


やっぱりかっこいいよなぁ…

部活終に雑に拭いたのかボサボサの髪も、高い鼻もキリッとした眉も。

全部かっこいい。

全部好き


顔だけじゃない。

性格だって紳士的で優しくて、ちょっと短気なところもあるけど、弱点くらいあった方がやっぱりいい


岩泉先輩、好きです


「？…俺の顔になんか着いてるか？」


あんまりにも岩泉先輩のこと見てたせいでそう聞かれた


「い、いいえ！なんでもないです」


ぱっと顔を背けて窓側を見た

外は真っ暗でなんにも見えない(そもそもメガネがないから見えないけど)

夜の窓ガラスは鏡みたいにこっちの世界を写す



カチッと、ガラス越しに、岩泉先輩と目が合った



かっこよくて優しくて、大好きな岩泉先輩

そう言えたらなんて素敵だろう

でも、私に言う勇気などない


ガラス越しに岩泉先輩に手を振った


そしたら岩泉先輩に「アホ」と言って軽く頭を叩かれた


でもちょっと見えた

岩泉先輩の顔が少し赤かったこと

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