くまさん(病)@3

@117(錦) ページ18

楽屋であんな事があり、なぜか大倉も俺もムキになった状態で衣装合わせやら、レッスンやらが始まって、気づいていた。
始まった直後から大倉の調子が良くない事は。

振りを見ながら眉間に皺を寄せて、いつもの余裕は一切なく、練習が始まってもいつまで経っても自主練に入らない。
そろそろ横山くんが抜けるんじゃないかって時なのに汗かいて息切らしながらいつまでもそのに居た。

でも、意地はって声をかけたくない気持ちが強くて、横目でチラチラ見ていると、村上くんが止めに入る。

大倉は、テレビではヘタレだけど、本当は努力家でやるならちゃんとやりたいって妙に真面目なとこもあるから、やっぱり意地になって断るが、フラフラだった。

心の中では止めにいかな。って思ってるのに、自分でも思う、本当に素直じゃない。

流石に他のメンバーも大倉の身体が危険信号を出しているのが分かったらしく、ダンスをやめ、大倉の周りに徐々に集まりだした。

丸はいつ練習辞めても良いようにと、水とタオルを持って大倉を見つめる。
横山くんと、すばるくんはどうしたら良いのか分からないようで、おろおろと周りをうろついていた。

安はじっと大倉を見つめてたまに村上くんと目で会話をする。

俺はというと、無意識にダンスをやめ、少しずつ意識とは裏腹に大倉に近づいていた。

村上くんをむきになって思い切り払いのけた大倉は
そのまま膝から崩れ落ちた。
無意識のまま、大倉を支えてお姫様抱っこする。
そのまま安に「マット借りるで〜」と了承を得て大倉を寝かせた。

頭が痛いのか、眩しいのか、とにかく息を整えてやらな、何も聞けないし、何も伝わらない。

カバンから新品の紙袋を用意して、大倉にどっちがいいか、一応聞いてみたが当たり前に紙袋に嫌な反応をみせた。そりゃあそうだ。息しようとしてるのに口に何か当てられるなんて恐怖でしかない。

紙袋と聞いた大倉は頑張って自力で呼吸しようとするが、全然進歩がない。
幸いにも大倉がこうなってから、自律神経や、過呼吸の勉強を少しした。結果、横にすると治るケースもあったりするらしい。というのを思い出し、ゆっくりと横向きに寝かせ、優しく声をかけながら背中をさすった。

しばらくして呼吸は整ったが、大倉は本当に微かに、ごめんと呟いて眠ってしまった。


すばるくんも、横山くんもとにかくウロウロわたわた大倉の周りを歩いていて、可哀想だからと、医務室運ぶ手伝いをお願いすると、嬉しそうに大倉を抱えた。

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