@102(安) ページ2
大倉が起きて、水を飲むのも辛そうなのに
気を使ってなのか、無意識に心配させないようにしてるのか、絶対に辛い顔は見せないで何でもない風を装っている大倉を見るのが辛かった。
「無理に笑わんでええんやで。」と伝えると大倉はふふっと笑って何言うてんのと誤魔化そうとしたのだろうけど、身体はもう限界だったみたいで
コップを持つ手が信じられないくらいに震えてそれが全身へと広がる。
どうにかしなきゃと思っていると大倉は倒れ込んできて抱きしめた状態で亮ちゃんに助けを求めるしかなかった。
「こんな事あった?」と聞いても亮ちゃんは眉間に皺を寄せて首を横に振るだけ。
「っ、、、は、、ぁ、、はぁ、はぁはぁ、は、、っ」
もう意識はないのに。いつもならこれで治るはずなのに。
「亮ちゃん、どないしよ、、大倉が、このまま「大丈夫!大丈夫やで!章ちゃん!とりあえず章ちゃんが落ち着かな!病院連れてったろ。俺らでできひんこともそりゃ、あるよ。仕方ないやん。」
亮ちゃんは珍しくめちゃくちゃ落ち着いてて俺の手を握って真っ直ぐに目を見てそう言ってくれた。
なのに、手が震えて俺は救急車の番号すら打てなくて、結局、亮ちゃんに呼んでもらった。
救急車が来るまでの時間が凄く長く感じて、来たらすぐに今日の大倉の症状を話す。
大倉はその間もストレッチャーで運ばれるが顔はバレないように。慣れたもので、電話の時にサイレンも付けないでと亮ちゃんは伝えてくれていたみたいだ。
もちろん亮ちゃんも僕も、出来るだけ大倉の側で、いつ目が覚めてもいいように。と救急車に乗る。
救急車の中での大倉は呼吸器をつけられ、息が整う事も無ければ、目を冷ます事もないまま病院に運ばれた。
安定剤、栄養剤を投与され、呼吸器を繋いだまま病室に運ばれた大倉。
「章ちゃん、俺、明日仕事やから一回帰るけど、、章ちゃんは?」
「俺は明日休みやし、大倉の側におる。やっと呼吸も少し落ち着いてきたし。」
「そ、わかった、またなんかあったら連絡してや。」
そう言ってキャップと眼鏡をした亮ちゃんは心配そうにドアの前で振り返った。
「章ちゃん、体調崩したらあかんで。」
そう言って静かに部屋を出て行く亮ちゃんは本当は不安で不安でしかなかったんだな。と、落ち着いた今だからわかる。
それからは、ひたすら大倉の手を揉んだり握ったり。大倉はまだ少し苦しそうだが、過呼吸と言うほど呼吸は辛そうではなかった。
そして気づけば眠りについていた。
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こう(プロフ) - 久々の更新ありがとうございました!作者様の無理のないように更新してください! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 2754d8d796 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - こうさん» コメント当時、お返事が出来ずに申し訳ありません。今もこの小説を見てくださっているかは分かりませんが、楽しみにしていましたという言葉が嬉しくてまだ続けさせていただいています。本当にありがとうございます。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - みどりむしさん» 体調の心配までしていただいたのに、当時返事が出来ずに申し訳ありません。この長すぎる小説を今も見てくださっているかは不明ですが、このコメントのお陰で続けて僭越ながら続けさせていただいています。本当にありがとうございます。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 和貴さん» コメントありがとうございます!このまま更新していいという言葉が多かったのでこのまま続けさせていただきます!無理のない範囲で更新頻度も少しではありますが上げていく予定です。今後もよろしくお願いします。和貴様もコロナにはお気をつけ下さい。 (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - ジェイさん» コメントありがとうございます!ご心配ありがとうございます!今までより元気な日も増えましたので、更新頻度も少しではありますが上げていく予定です!このまま更新していいという言葉が多かったので、このまま更新させていただきます!今後もよろしくお願いします! (2020年8月15日 7時) (レス) id: 52798afd06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかか | 作成日時:2018年9月20日 10時