春市 × 市春【小湊春市】 (ページ4)

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昔ページ4

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『お兄ちゃんが野球するなら、私もするー！！』

小さい頃からいつも私は、兄貴の背中を追いかけてばかりだった。野球を始めたのも兄貴が野球を始めて、兄貴の後ろ姿が格好よかったから。

兄貴のあの、大きな姿に私はいつも憧れてた。

私が五歳頃の夏休み。その日は蒸し暑いぐらいの晴天なのに、兄貴が熱を出して私はうつる、と言う理由で家から追い出されてしまった。

一人で歩くのも暇だし、私はとぼとぼと散歩をする。すると河川敷である少年と出会った。

その少年も野球をやってるらしい。私よりも歳が一個上で、性格はめんどくさい。少年はおばあちゃんの家に帰省しに来たとか。

私の家からそのおばあちゃんの家が近くて驚いた記憶が今でも鮮明に覚えている。

私はその少年にニックネームを着けた。因みにそのニックネームは『インコ』。名前がなんとなくインコぽかったから。

インコ、って呼ぶと顔を真っ赤にして『俺はインコじゃねぇし！失礼だろ、それ！」なんてバカそうな顔をしながらも難しい言葉を使っていた。

まぁ、顔に似合わない言葉を言っていたものだから私は思わず吹いてしまったんだけど。

夏休みの半分はおばあちゃん家で過ごす、と言うインコ。その日を境に私達はよくその河川敷で一緒に遊んでいた。

とある日はキャッチボール。

とある日はノック練習。

とある日はボールの投げ方を教えてもらった。

インコは教えるのが凄く下手なくせに性格もめんどくさいから覚えるのに一苦労した。

インコのポジションはピッチャーだったから、教えてもらったのもピッチャー。

『ねぇ、インコ。私にピッチャーの技術教えちゃっていいの？私、インコよりも上手くなっちゃうよ？』

私がインコに聞くとインコは少しムッとした顔で、

『市春は女だからいいの！どうせ、甲子園も出ないだろ！』

って言った。私は甲子園、の意味が分かってなかったから、家に帰って兄貴に確か意味を教えて貰ったんだよなぁ。今となっては懐かしい記憶。