検索窓
今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:21,421 hit

分かりません ページ22



私、そして春市君は誰一人いない教室に向かい合って座っていた。


「ここ、分かる?」

「漢文は得意!!」


漢文だけはスラスラと解ける私に春市君は「何で漢文だけ……」と呟く。どうして漢文だけかって?受験の時に漢文を教えていたのが介さんだからだよ。

何回か命の危険を感じたからね。死にもの狂いで頑張ったんだ!


「じゃあ数学やろうか」


春市君が数学の教科書を取り出したのを見て私はガタッと立ち上がる。足は教室のドアの方向に向いている。だが、決して足は動かなかった。

何故なら、春市君が物凄い強い力で私の腕を掴んでいたからである。……以外に力強いな、春市君。じゃなくて!!


「何、逃げようとしてるの」


ニコリと笑う春市君は恐怖対象でしかなかった。恐い、恐いよ。何か後ろに介さんも見えるし……本当に血の繋がった兄弟なんだなぁ、この二人。


「ここはxを二乗するんだよ。ここを、こうかけて……」

「あっ、だからこの答えは……」

「そうそう。結城さんは飲み込み早いからちゃんと勉強すれば出来るのに…。いつも寝てるからだよ?」

「授業は子守唄に聞こえる」


真顔で私がそう言うと春市君は「よくそれでこの学校に受かったね」と苦笑いしながら言った。


「介さんと兄貴スパルタ指導のおかげです」


あの二人は本当にスパルタだった。今思い出しても本当に……やばくて凄かった…。何回倒れかけたことか。何回インコに心配されたことか……。

思い出して「はははっ」と乾いた笑いをしていれば春市君に「頑張ったね」と同情したような目で見られた。悲しいです。

テスト→←勉強



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
33人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 小湊春市
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:フ瑠ラン | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年7月2日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。