春市 × 市春【小湊春市】 (ページ13)

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兄らしさページ13

結城哲也side

「ごめんなさい」と謝った市春を見て亮介は「別にいいよ。そもそも俺は兄なんてがらじゃないし」と言った。

兄は色々と我慢しなくてはならないことが沢山ある。例えば好きな食べ物。弟や妹が自分の食べ物を欲しがっている姿を見ると分けてやらなくてはならない。

それに、前までは母親に愛情を注いで貰ったのに急に貰えなくなる、不安、悲しみ。自分中心だったものが全て弟や妹中心となる。

亮介は「兄なんてがらじゃない」と言っているがきっと小湊からしてみれば亮介は背中の大きくて懐の大きい兄、そして自分が越えなくてはならない大きな壁だと思っている。

いい兄ではないか。そう思った俺はジーと亮介を見つめる。

「？」

何がなんだか分かっていない亮介の肩に手を置き俺は言った。

「お前はいい兄だ」

「？何がなんだか分からないけどありがと」

結局俺の意図は分かって貰えなかったみたいだが喜んでくれたみたいだから良かった。俺は亮介にグーサインを送る。

「(…俺、何かしたかな…？)」

ぱたはと足音がする。走って来たのは亮介の弟、小湊だった。

「兄貴、キャプテン、休憩もう終わりますよ」

「分かった」

亮介と共に歩き出そうとしたが亮介は小湊が立っている場所で一度止まった。

「市春友達いないみたいだから作るの手伝ってやってよ。って言っても春市も人見知りか」

亮介の言葉に驚いたのか小湊は「えっ！？」と驚きの声をあげていた。

「結城さん友達いなかったの…？」

「介さん、余計なこと言うなぁぁああ！！」

市春の叫び声を背に俺達は練習へと戻った。