友達 ページ12
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部活の休憩時間。スポーツドリンクを取りに来た兄貴に「はい」と渡すと「助かる」と言われ少しテレる私。兄貴に感謝されちゃった!!
「友達は出来たか?」
唐突に兄貴にそう聞かれた。私はギクリと肩を震わせ、目が泳ぐ。兄貴は私の姿を見て「はぁ」とため息をつき、「出来てないんだな」と言った。
「と、友達ぐらい、い、いるよ…」
「吃りすぎだ」
「…栄純君とか、春市君とかいるもん……」私がそう言うと兄貴は「それはただの部活仲間だろう」と言った。
「自分の事を全て話せるような友達を作れ」
「むぅ、子供扱い……!」
兄貴は「お前はいつまでも子供だ」と言われショック。いつか絶対見返して、ビックなレディになってやる!
「哲みたいだよね、市春って。オーラが似てる」
「介さん…」
「違うところと言えば、将棋が普通に強いことだよね」とひょこっと後ろに現れた介さん。…気配がないよ、この人。まさか幽霊だったりして……。
「なわけないでしょ」
「いでっ」
介さんに頭をチョップされた。それを見た兄貴が「相変わらずお前らは仲がいいな」と言った。
一体兄貴は私達の何処を見てそんな事を言っているんだ。どう見てもいじめられてる後輩にしか見えないでしょ。
兄貴の天然恐るべし。
「市春って友達一人もいないの?」
「…痛いところついてくるなぁ、介さんは」
「え、本当に?マジで?」
私はフイとそっぽを向き兄貴は無言で頷く。
「別にいいもん。クラスには春市君いるし」
「春市がいなかっらボッチなんだ」
「………降谷君いるもん」
降谷君とは喋ったことないけど。
「それに、それに、他のクラスに行けば栄純君だっているし、兄貴もいるもん!」
「女友達はいないの?」
「居たらとっくに作ってるもん!」
私が大声を出してそっぽを向くものだから兄貴が私がいじけたと勘違いしたのだろう。「亮介、そんなに市春をいじめるな」と言った。
「いじりがいがあるよね、市春って」
「春市君、こんなお兄さんで可哀想」
ギロリと前から威圧感がする。介さんの威圧感ではない。この威圧は……
「市春。言って良いことと悪いことがあるぞ」
「…ごめん兄貴」
「謝るのは俺じゃないだろう」
私は介さんに向き合って「…ごめんなさい」と言う。ここは素直になっとかないと怖いから。滅多に怒らない兄貴は怒ると凄く恐い。それこそ自分が殺されるんじゃないかってぐらい。
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