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緩んでいく頬は私だけではないことを確認して、嬉しいやら恥ずかしいやらで彼から目を逸らすと、不意に引かれたその手に促されゆっくりと足をも前進させた。
人波に紛れ込み足を進めていくと、
「結構待たせちゃったかな？」
と右上から優しい声が聞こえた。
「いや、私が早く来すぎちゃっただけだから。レンくんは時間ピッタリだったよ」
見上げた先の彼の瞳にそう返すと、やっぱり待ってるじゃんとでも言いたげに眉尻を下げてしまった彼に、宙ぶらりんの方の手を横に振って否定の意を示した。
「で！でもね！待ってる時間も楽しかったよ！レンくんと待ち合わせしてるんだ〜って実感が湧いて」
「ほんと？」
「うん！」
「それならええけど。でもさ、もしまた早く着いた時は、どっかお店に入ってて？」
「お店？」
「コーヒーショップでもカフェでも、なんでもええから」
「そっか。そうだね、次はそうする！」
「得体の知れない男に声かけられても困るし」
わかった？と、確認するように彼が不意に覗き込んできて、私は驚き目を丸くする。
その近づいた距離に、あの夜の出来事が脳裏に甦ってきた。
唇と唇が触れた、あの一瞬。
彼とキスをしたことを思い出して、無意識のうちに赤面していることに気がついた。
「ハハ、顔赤くなってる」
「や、急に顔近づけるからだよ」
「Aちゃん、無防備なんだもん」
「え、」
「そんなん隙ばっかやと、心配なるよ。とにかく気をつけてね」
「はい」
条件反射のようにはいと言ってみたはいいものの、無防備も何も隙を披露する相手など目の前のレンくん以外にいるわけがないので、杞憂に終わると思うのだが。
それでも、心配してくれるということは。
彼の気持ちを期待してもいいのだろうか。
私と同じように、気になってくれている、と考えてもいいのだろうか。
「どこ行こうか〜」
なんて、伸びやかな声音を宙に響かす彼が、どこか遠くを見上げて笑う。
その笑顔はとても優しげで、愛おしくて。
今すぐその腕に絡みつきたい衝動に駆られるけれど、なんとか抑え込む。
その代わりに繋いだ手のひらにきゅっと力を込めれば、彼の目がこちらに流れ、その手を握り返すと同時、ふふふと緩んだ口元がへの字を描いた。
照れくさいとか、どう思われるだろうとか、そんなことどうでも良くなるくらい、単純なのだ。
そんな私はあっという間に、彼の隣に夢中になっていった。
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ルリ(プロフ) - 林檎さん» 林檎さま、返信が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。私自身キュンが大好きなのでそう言っていただけるのが最上の褒め言葉です、ありがとうございます。更新が滞ってしまい申し訳ない限りですが、今後ともお付き合いいただけると嬉しいです^^ (6月1日 13時) (
レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - キュン死しそうでした。素敵な作品をありがとうございます｡>_<｡お身体にお気をつけて (2023年4月14日 19時) (レス) @page26 id: 84e97ac5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます。たくさんキュンとしていただけたみたいで嬉しいです。そしてファンとまで言っていただき恐縮です。全員分を同時進行で書いているので更新が遅くなってしまっていますが、末永くお付き合いいただけると嬉しいです^^ (2022年12月30日 15時) (レス) id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
まい - はじめまして！すごくおもしろくていっきに読ませて頂きました！きゅんきゅんが止まりませんーきゅんで死にそうです 笑 更新大変かと思いますが頑張ってください☆すっかりルリさんのファンになりました！ (2022年12月30日 0時) (レス) @page21 id: e5435e7bdd (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - わこさん» 返信が遅くなりごめんなさい。どうもありがとうございます。 (2022年12月16日 19時) (レス) @page21 id: 9b3e1dd9b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ | 作成日時：2022年7月16日 17時
