優しさ届ける広い空！３

＊１１７話　勝てない ページ27

カ「だいたい、そこにいるチェーニ様だって元とはいえナイトメア。あなた方の言う大切なものとやらもたくさん傷つけ、壊しているんですよ」

貴「」

そう、特に…みんなと出会う前の"チェーニ"だと…

さっきまでの私…"チェーニ"にも、みんなと過ごしていた時の記憶は全くなかったと言っていいだろう

でも…暗闇を照らす一筋の光のように…みんなとの記憶は、きっと奥深くで輝いていたはずだ

私の行動に…大きく影響を与えていたはずだ…

だから、うららちゃんの初ステージのときの子供も、さっきのマフィンたちも、助けることができたんだと思う

だけど…みんなと出会う前のチェーニは…ただデスパライア様の命令をきいていたいただけ

そこに自分の意志なんて、少しも存在していない

ずっとずっとずっと、暗い闇の中に閉じ込められて、デスパライア様の操り人形だった

カ「パルミエ王国に攻め入る方法を提案したのも、チェーニ様なんですからね」

貴「っ！」

ナ「ナツ！？」

マ「Aが…マフ…？」

みんなの視線が集まるけれど、私は何も言えない

ただの事実だから…

カ「それでもあなたたちは、この娘を仲間と、そう呼ぶことができるのですか？自分たちの王国を破壊された原因となったような者を？」

貴「」

カ「・・・その娘にもう用はないので私はこれで失礼しますよ(本当はとどめまでさすつもりでしたが、このままにしておく方が都合がよさそうですね…。さて、どんな風にバラバラになっていくのか…楽しませていただきましょう)」

ブ「え！？ちょ！？待ってください！」

そんな声を残し、カワリーノさん達は去っていこうとした

ド「待ちなさい！」

マ「あんた達を、私たちがこのまま見送るとでも思うの！？」

みんな、いつでも戦闘ができるように身構える

私は思わずドリームの腕をつかんでいた

貴「だめ！」

ド「Aちゃん…？」

カ「・・・さすが、チェーニ様は状況の理解がお早い」

貴「」

カワリーノさんの言葉をできるだけ無視し、ドリームに話しかける

貴「だめ…今のみんなじゃ…カワリーノさんには勝てない…」

５『！？』

ル「そんなのやってみなきゃ！」

私は黙って首を横に振った

カ「それでは今度こそ、失礼します」

ド「ちょ…！」

貴「お願い…」

ド「」

ド「・・・分かった…」

ル「！？」

ドリームの返事を聞き、カワリーノさんたちがナイトメアに戻ったのを確認すると、緊張が解けたからか、私は全身の力が抜けていくのを感じた

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