【マインドコントロール】 ページ14
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高い塀に囲まれた大きな和造りのお屋敷の中、最奥とも言える一室で乙女はゆっくりと目を覚ました。
『?・・・ここ、は』
乙女は夢見心地ではっきりとしない意識の中、気だるげに上体を起こし辺りを見回す。
少し空いた障子の隙間から見える中庭の景色、家具の種類や配置。
そこは紛れもない自室で、警戒を捨てた乙女は再び身体を布団に預ける。
どうにも身体がだるい事に違和感を覚えながらおもむろに口を開いた。
『起きた、』
その短い言葉の末尾が空気に溶ける前に、襖が小さな音を立てて開かれた。
襖の向こうにいたのは3人の女である。
1人はややシワを刻んだ中年、あとの二人は乙女とさほど変わらない年頃の娘だ。
皆同じように紺色の着物に灰色の帯を身に纏い、部屋との敷居の手前で額を床につける体勢で固まっている。
「おはようございます、乙女様」
「「おはようございます、乙女様」」
初めに中年の女が声をかけ、それに続くように娘2人が挨拶をする。
『日差しが眩しいの。障子を閉めてくれる?』
乙女は再び身体を起こし、顔にかかる陽の光が煩わしいと不機嫌そうに眉を寄せた。
「失礼致します」と、娘のうちの一人が立ち上がるも、頭を垂れたまま極力低姿勢で入室し障子を閉じる。
そして再び額を床につける形で跪いた。
傍から見れば異様なこの光景。
だが、格式を重んじる縁田家や、呪術界の御三家等では当たり前の光景である。
主人より目線が高くあってはいけない、その意識から生まれるこの態度は仕える者として最低限のマナーと言えるのだ。
『着替える』
乙女が呟くと、未だ廊下で待機していた2人も立ち上がり、低姿勢で入室する。
乙女はゆっくり立ち上がり、鏡台へと歩み寄った。
障子を閉めた娘がすかさず布団を畳み、もう1人の娘は乙女に近づき寝巻きの浴衣を脱がしていく。
ふと、その時。
乙女ははたと動きを止めて何かを考え込み始めた。
『(あら・・・私、いつもこんなだったかしら?)』
いつもこんなふうに、誰かに着替えを手伝ってもらっていただろうか。
最近はずっと、自分一人で着替えていたような気がする。
そういえば、最近の私は布団で寝ていなかった気がする。
ベッドで寝ていたような・・・床も、フローリングだったような・・・?あれ、この屋敷に洋室なんてないのに。
なんだ。なにかが、おかしい。
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舞(プロフ) - 自分の名前を設定したいです!駄目でしょうか?? (2021年12月28日 23時) (レス) @page1 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
お萩(プロフ) - 成る程!!承知しました!! (2021年3月3日 10時) (レス) id: dd7c82a96f (このIDを非表示/違反報告)
花璋(プロフ) - お萩さん» どういう事だろうと思って調べてみると、なるほど、NARUTOのサスケくんですか!確かに乙女と意志が似たり寄ったりしてますね(笑)コメントありがとうございます!wikiで読んだ程度ですが、サスケ君ほど重くはならない予定です!(裏切る可能性大) (2021年3月3日 7時) (レス) id: 7ebade7fdf (このIDを非表示/違反報告)
お萩(プロフ) - 心なしかサ○ケを思い出す…一 (2021年3月3日 1時) (レス) id: dd7c82a96f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花璋 | 作成日時:2021年2月26日 21時