【金カム】愛に彷徨う[男主] (ページ8)

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-弐- ページ8

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尾形が病室に運ばれてから数日、俺は毎日のようにお見舞いに来ていた。
心配とかではないけど、一応相方として出来る限りのことをしてやろうと思ったからである。

「あら、Aさんいらっしゃい...」

「まぁAさん！今日も尾形さんのお見舞いかしら？」

「えぇ、まあそうですね」

フフフと看護婦達が微笑んでくる。毎回ここに来るたびに微笑まれるから慣れたものであるが、些か居心地が悪くなる。それは看護婦たちからひそひそと黄色い声が上がるからなのだがAは知らない。

「尾形の具合はどうですか？」

「良好ですよ！顎は縫ったばかりなので話はできないかもしれませんが、筆談ならば問題ないでしょう。」

会話は無理そうだが筆談なら大丈夫との事なので、看護婦から紙と鉛筆を借りて尾形がいる病室へと向かう。

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病室に着くと顔中包帯で固定された尾形とばっちり目が合った。尾形が寝ている時に見舞いに行くことが殆どで、起きてる状態での見舞いは初となる。

尾形は目を見開き驚いた表情をしていたが、すぐにその表情は戻りAの手元にある紙をじっと見つめていた。

「あぁ、これな。看護婦さんが尾形が喋れないだろうからって貸してもらったんだ」

紙を凝視する尾形に声を掛ければ、なるほどというようにゆっくり頷き、Aの手中にあった紙とペンを横取りする。

何か書きそれをAの前に折れてない腕でグッと突き出すので見てみると、

「…少し見ない間に丸くなったか？…お前っ！！」

口がきけない尾形でも筆談だけでここまで人を馬鹿にすることができるようにまでは回復しているらしい。

「ったく…。急に居なくなったかと思えば大怪我して帰ってくるし…。懐いてる野良猫みたいな奴だな。」

ｶｷｶｷｶｷ

「なになに？...じゃあお前はそれを待ってる忠犬だな…。もうほんっとに尾形は…」

久しぶりの会話でも減らず口は健在なようで安心したAだったのだ。

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