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「あ、すみません！今から戻りますっ！」
「い、いやいやいやいやいやいや、ゆっくりしていてくれ！邪魔してすまなかった！も、申し訳ありません兵長！では、ごごごごゆっくり！！！！！！」
パシャン、と勢いよく閉められた扉に首を傾げる。俺達の関係を知らない奴の素直な反応だ。隠しているつもりはないがかといって伝えるタイミングもない。
「どうしたんでしょうか…。具合でも悪いのかな…。」
「……取り込んでるとでも思ったんだろ。」
「…………それって、」
「試してみるか？」
「！」
こいつは馬鹿ではない。否、馬鹿だが馬鹿ではない。
しっかりと自分の立場を理解しているし、男女について無知な訳ではない。それなりの知識はある筈。
変に鋭いところが面白くて鼻で笑う。するとみるみるうちに真っ赤になっていくジゼルは唇を噛み締めて倉庫の扉と俺を交互に見る。
「へ、変な誤解をさせてしまいました…。えっと、そろそろ行きますね、誤解もとかなくちゃだし……。」
「そうしてやれ。」
「は、はい。じゃあ、リヴァイ兵士長もお仕事頑張ってくださいっ。」
「ジゼル。」
「？」
扉に手をかけたと同時に名前を呼べば目を丸くして振り返る。
「無理はするな。」
誰しも必ず自分の限界がある。限界点を間違えると大変な事になる。過労と向き合い、休める時は休んでおく。
「ふふ、はい。分かりました。リヴァイ兵士長も無理はしないでくださいね。」
「当たり前だ。約束する｣
「はいっ。」
リヴァイの優しさが含まれた瞳が嬉しくて笑ったジゼルは小さく手を振りながら倉庫の中へと入っていった。静まり返った廊下の中、リヴァイは背中を壁に預け宙を仰いだ。仕事、するか。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
