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「……後列後方辺りは最も巨人と遭遇する可能性が低いはずだが。」
変更する必要は無いように思える。
「ああ、だがこの前の壁外調査では最も安全である中央後方辺りが壊滅状態に陥った、異例の事だ。…荷馬車班、及び援護班も機能不全。お前は何故だと思う？」
「……予測できなかった不確実性の高い何かか？」
「その通りだ。あの時我々を襲った大量の巨人。最も安全な中央後方辺り“のみ”が壊滅まで追い詰められた。」
「は？」
「陣形をわざと崩し、明らかジゼルのいた荷馬車を狙った確信的犯行だ。そしてその内通者はきっと前回の壁外調査で後列後方辺りに居ただろう。後列後方辺りを乱せば、中央後半辺りに巨人が侵入してくるのなんて朝飯前だろうから。つまり私が言いたいのは、」
「……チッ。」
「……組織内に裏切り者がいる。」
まさか、とは思った。だが実際に起きた不可解な出来事。中央後方だけ壊滅状態だった。それは紛れもない事実。
「だが何故ジゼルを狙う必要がある。あいつの資産目当てで命の綱とも言える陣形を崩す、そんな事が有り得るのか。」
下手すれば自分の命が危ないと言うのにそんなに危険な賭けに出る。……いや、ちょっと待て。何か引っかかる。何か…。
その考えが脳裏に浮かんだ時、俺の思考はピタリと使い物にならなくなった。
「そうだ、リヴァイ。…裏切り者は全てを失う覚悟で前回の壁外調査時、ジゼルを殺そうとしたんだろう、それも生半可な覚悟ではない。ちょっとやそっとの事では揺らがないだろう絶対的な覚悟だ。」
「……。」
寒気が、した。
あいつを失う、失いそうになったあの時の恐ろしい感覚が昨日の事のように鮮明に脳裏に浮かんだ。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
