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無意識に早足で兵舎の外に出て庭に向かう。幸い、訓練所とは真逆の方向だからか他の人間は居なかった。その事に安堵する。
少し歩けば、見えてくるのは金髪。背中を流れるように伝い、キラキラと佇む絹糸のような髪が揺れる。小さな体を丸めながらゆらり、と揺れている体に足を早めた。
「おい、ガ……、」
おいガキ、といつもの様に起こすつもりだった。だがそれが出来なかったのは、
「…寝る場所が違ぇだろうが。」
気持ちよさそうに睫毛を揺らしながら眠っていたから。ここに人がいなくてよかった。もし俺じゃない誰かだったらこいつは間違いなく襲われていただろう。
規律違反にはなるが目の前に迫る強烈な性 欲に勝るものはないだろう。規律違反だろうがなんだろうが男というのはそういう生き物だ。だからこそ、こいつの無防備な行動に腹が立つ。
「……。」
「ｽｰｽｰ……。」
「……チッ。」
「ｽｰｽｰ…。」
一体いつこいつは起きるんだ？と素直な疑問が浮かぶ。そろそろ太陽も落ちてゆく頃だ。それにこいつにも仕事があるはずだ。
少し肌寒くなった風に目を細めた俺は近くの木に背中を預け腕を組む。静かな場所、まるでジゼルとリヴァイ、二人だけの空間が広がったような錯覚に陥りそうになる。
唐突に瞼が重たくなる。徹夜続きが今になって限界を迎えそうだ。そんな中、
「ねーねー、リヴァイのやつ何してるの！？折角私がジゼルの可愛いぃ寝顔をリヴァイに託してあげたってのに何アレ！」
「…まぁまぁ、ハンジも少しは落ち着きなさい。」
「ずっとぼーっと突っ立ってるだけだよ！ねえ！？リヴァイって案外奥手なのかなっ？それなら納得いくけどさぁ…。男なら普通キスの一つや二つくらいするでしょー！？！？」
「…はぁ。」
嫌な声が聞こえる、耳障りな声が。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
