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「その汚ぇ面を踏み潰してやる。そこに跪いてろ。」
「……っ、や、めろ…！ぐがッ！」
「やっと喋る気になったのか、クズ野郎。だが悪いな、お前は今すぐここで俺が殺してやる。」
冷たく、低い声が響き渡り、リヴァイが片足を上げた瞬間、そこにいる誰もが目を瞑った。最悪の場合を想定した。だが、いつまでたっても男の悲鳴は聞こえては来ず恐る恐る目を開けば、
「……やめろ、リヴァイ。」
「止めるな、エルヴィン。俺はこいつを殺す。」
エルヴィンがいつの間にかリヴァイの肩に手を置いていた。エルヴィンの一言でリヴァイの足は下ろされる、ようにも思えたがリヴァイは相当切れているらしく足りねぇ、とでも言うかのようにして足をそのまま振り落とそうとした。
「……リヴァイ、ジゼルが見ている。」
「……クソが。」
リヴァイ兵士長がこっちを見た。あたしを捉えたその瞳は見る見るうちに冷静を取り戻していく。大袈裟な程に震え上がる男は何度も泣きながら土下座をし、リヴァイから離れた。
腰が抜けてしまったのかワナワナと座り込んだ男にリヴァイ兵士長は見向きもせずこちらへと足を進めた。
酷い言葉をぶつけられた。醜い言葉の数々に心が重たくなった。だけどリヴァイ兵士長はあたしの代わりに怒ってくれた。やり方は乱暴だけれど、リヴァイ兵士長はあたしの為に怒ってくれた。嬉しいような、嬉しくないような、だけど矢張りあの男が言ったことは間違いではない様な気もした。
複雑な感情が交差した中、リヴァイ兵士長が馬に跨るあたしを見て顔を顰める。
「好き勝手言われて気にしねぇのか、お前は。」
「……半分、正解だと思ってます。」
「ほぅ…、それが事実だというなら糞みてぇに不細工な面を見せるな。」
「不細工って…、酷いです。」
「調査兵団に相応しいだとか相応しくねぇだとか、そんな下らん事に頭回してる暇があるなら、兵舎に着き次第さっさと俺の起動装置を隅々まで点検しろ。」
「え？」
「お前にしか出来ねぇ仕事だろうが。」
馬鹿なのか、と付け足したリヴァイ兵士長に胸が高鳴る。遠回しに落ちてくる言葉はどれも刺々しいものなのに、その言葉に含まれてある意味はとても優しく感じた。
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作者名：るかこ。 | 作成日時：2020年4月30日 13時
