極度の対人恐怖と悪女さん。【AU】 (ページ9)

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「大丈夫だ、殺しはしない。謝らなくてもいい。落ち着くまで待つ。」

そう言いながらサンズさんは過呼吸が治まるまで背中を優しく摩ってくれた。

「…、…。」

「あー…、Aもしかしてだが、パニック障害とか…」

「…、臆病なだけです。」

ここへ来る前からわざわざ関わってきたり話しかけてくることの無い生きていない人が好きだった。

そしてその生きていない人を象徴している骸骨などが好きだった。ゾンビは死んでるのに生きてるから論外だけど。

だから、この世界に来て、その骸骨が喋って動いて、悪口言ってきたり…。

私の理想を裏切るようなことが多くあって嫌だった。

まあ、この世の全てが自分の理想通りと言うわけじゃないんだけど…、当たり前だよね。

「…私、人は苦手でも。モンスターは…好きです。優しいので」

無意識の内に、口角が上がっていることに気づき、サンズさんから目をそらす。

他人に笑いかけるなんてキモすぎないか。しかもこんな醜女が。

これは、殺される。何キモイ笑み浮かべとんじゃで、ぐさりやられる。私ﾀﾋぬ

「A…、アンタ笑えたんだな。」

「…ごめんなさい。」

「いやいや、何謝ってんだよ。いい事じゃねぇか。今まで幸せを知らないような顔ばっかりだったからな。」

「例えば恐怖とか不安とか嫌がってる顔とかな。」とサンズさんは続ける。

当たり前だ。サンズさん大体セリーナさんの近くにいるんだ。全部セリーナさんに向けての表情だ。

「…知らないなら…、無表情です。」

「……、あー…、そうか確かにな。じゃあ、アンタは今幸せか？」

貴方は今幸せですか？って結構残酷な質問だと思うんだ。幸せだと感じてなくても、幸せじゃないと答えるとでも私より辛くないでしょ？みたいな返答がこわい。

「遺跡にいる時だけは。」

「…そうか。おばさんのとこか。」

そうサンズさんはこちらを怖がらせないようにか落ち着いた口調で話す。

「…マ…、いえ、トリエルさんはとても優しいので。」

「お前さん今ママって言いかけただろ」

やめろ、その幼児に向けるようなムカつく顔をやめろ。

「切腹させてください。ナイフはどこですか。」