いや、私女子なんだけど。［３］ (ページ4)

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９７話※ ページ4

「案外…普通、なんですね…」
富士山「まあ…部屋しかないしね…」

何階まであるのかな、と案内図を見る先輩は他所に、私は海を見ていた。
綺麗とか、太陽が昇って幻想的、とかじゃない。

あれは…何…？

海から出ている無数の白い腕。に見えなくもない。いや、断固として違う、あれは腕じゃないあれ、ほら、長い魚。きっとそう、あれは長い魚。あ、それかほら、シンクロやってんだよ。

だからあれは断じて腕じゃない、腕だとしてもほら、シンクロだからさ。

富士山「……Aちゃん…？」
「あ、あの、あれ…あれって、腕じゃないですよね……？」
富士山「腕…？」

チラッと海辺を見た富士山先輩。
サーッとわかりやすく顔が青くなる。

う、腕じゃないよ、アレはほら、蜃気楼、と言う先輩の言葉に賛同。

そう、あれは熱が見せた蜃気楼だ、そう、陽炎(かげろう)。

富士山「ほら、海ってまだこの時間、陸より暑いじゃん、だから普段陸で見えるはずの蜃気楼が海で見えてるんだよ」
「あ、アレですね、逃げ水的な。又は地鏡みたいな」

そうだね、その類だよきっと、と焦る富士山先輩。
逃げ水と地鏡は同じだよってツッコミ入れてくれなかった…。

じゃあ3階いきましょうか、と腕を見なかったことにして階段を上る。

私今この廃墟より海の方が怖いよ。

「何階まであるんですか？」
富士山「見たところ屋上合わせて6階…で、部屋数は20。1階はフロントとかキッチンとかかな？屋上には露天風呂があるみたい」
「へぇ…まだ経営していた時に来たかったです」

自傷をする人が多かったんだって、と言う富士山先輩。
いや、なんで今言った。せめて合宿所帰ってからがよかった。

涙目になる私を見て噂だよ！？と弁解。なんで知ってるの……？

「でも、ほら、平気ですよ」
潮「そうそう、死んだ人間が俺らに危害を加えるなんて、死んだ分際で生意気なんだよ」
「ぎゃああぁああぁ！！！！！潮くん！！」

なんで！？なんでいるの！？
っていうかよりにもよって潮くん！凄い気まずいね！昨日はごめん！

潮「……あ、あと、お前めちゃくちゃ柔らかいな」
「一応聞くけどなんの話？」
潮「……おっぱ「だめ、ダメ」…い」
「ダメでしょ！？」

あんたに指図されるくらいなら死ぬ、と素っ気ない潮くん。

でもまあ、もう1人の登場で緊張はほぐれた。
富士山先輩はあはは、と優しく笑う。

潮くん、今回だけは感謝するよ。

潮「でもアレなんだろうね、うd「潮くん？」…」