いや、私女子なんだけど。【番外編】

大門’s birthday 8/15 ページ13

side大門


祝って欲しい、だなんてまぁ、傲慢なのかもしれない。
それでも俺は、俺の誕生日をただ一人の奴に祝って欲しかった。

口には出さないけど。


大門「はぁ…」


ため息をつけば、カランッと爽快な音を立てて氷が溶ける。

風鈴が小さく音を立てて控えめに鳴る音を何処かで聞いた。


……まぁ、夏休みだし。


夏休み、しかもお盆…。
終戦記念日だろうがなんであろうが、それは関係ない話だ。不謹慎かもしれないが。


俺は机の上の参考書を閉じて、本棚にしまった。


窓から空を見上げれば、あぁ、夏だなぁ…なんて思い出してしまう。


花火大会に海…人混みが嫌いな俺はそういった行事やら場所を嫌うけど、ただ一人、コイツとだったら行ってやってもいいかななんて思う女がいる。


名前なんて言わなくてもわかるだろ？

学校に行っても良いんだが、あいにく今はお盆。
まさかの学校に行っても誰もいないって悲しい結果になってしまう。


あーぁ、せめて誕生日が一週間早ければな…。


そう考えながら布団に寝転ぶ。


庭には朝顔が咲いている。
朝顔って、萎むって言うんだっけか…。


このまま誕生日も、何事もなく終わるんだろうな…。


両親からの連絡は来たが、まだ誰にも正面衝突で言われてはいない。


最初はAが良いなー…なんて、思ったりして……。



いや、あるわけねぇか。


大門「…悲しい誕生日だな…」


独り言を呟いて、少し早い昼食でも取ろうと立ち上がると、爽快に響くチャイムの音。


大門「？はい」


不思議に思いながら出ると、そこにははにかんだように笑うAが。
一瞬幻かと思った。


「えへへ、来ちゃった。大門の家って柏木の家の隣だったんだね。大きいから誰が住んでるんだろうとは思ってたんだけど……」
大門「は？え、なん…」


俺の家が蒼葉の横だとかはどうだっていい。
なんでAが？


「あー…えっと、そのだな。きょ、今日大門誕生日だって大河さんに聞いてたから…」


そう言って俯くAの顔は、すぐにわかるくらい真っ赤。

えぇえ…嘘だろ。


まだ状況に追いつけないんだけど…。


「お、お誕生日おめでと！！これからもよろしくね！あ、これ誕生日プレゼント…上手くできてるかわかんないけど……」


そう一気にまくし立てたAは、保冷剤の入った袋を差し出す。

その袋を受け取って、中を覗いた。


大門「え、これ…」
「大門、モンブラン好きって聞いて…」


……可愛すぎか。


大門「あ、あと別に俺モンブラン好きじゃない」
「え」

中学時代 極才学園VER真本→←IFの話 その一

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