いや、私女子なんだけど。［２］ (ページ8)

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５５話★ ページ8

「あー…案の定」

放課後、帰る時間になったので下駄箱に来たのはいいが、本当に降っている。
バケツをひっくり返す、なんて言い方はぬるいレベルの大雨。

つまりそれだけ酷いってことね。
梅雨に入ったのかなぁ……。

「あーぁ…ゲリラ豪雨みたい」
柏木「早く止めばいいのにね」
「本当n……柏木！？」
柏木「傘忘れたんだって？」

何で知ってるんだコイツ。

柏木は私の心を読んだのか、美原に聞いたんだよ、と笑った。
そう言えば美原。近くに住んでるのに何だ、アイツは。
何で少しの間入れてくれないんだ。LINEスタ連してやろうか。

スマホを取り出し私を不思議そうに見る柏木。

なんか久しぶりだね。

「柏木は？傘無いの？」
柏木「まぁね。でももうすぐ兄貴が迎えに来るはずだよ」
「……お兄さん？」
柏木「今のってお義兄さんって受け取っていい？」
「良いわけないでしょ？」

お兄さんの顔見たことないなぁ……。
声は聞いたことあるけど。真面目に耳妊娠したのかと思った。

そして美原にスタ連。

すぐに返事が返ってきたけど辞めない。
罰だ罰。

「……これくらいにしといてやるか……」

何件溜まったかな？
途中から諦めて見なくなったけど。

柏木「あのさ、俺の通学路、車で通るなら多分Aの家の前通るけど、どうする？」
「えっ……」

ちょっと、柏木にキュンと来ちゃったよ。

良いの？と訊けば、兄貴も会いたがってたし…と言う。
私柏木のそういうとこ好きだよ。

そして門の前を見ると、白い車が。

よく雨の中あんな綺麗な白い車が乗れるな……。

柏木「アレだよ、車。走れる？」
「え、アレ？めっちゃ高級感……っていうか高いんだろ、アレ」
柏木「んー、どうだろ。兄貴が買ったからわかんないけど」

いや絶対高いやつだろアレは。

もう高級感が溢れ出て止まらないよ。
雨に濡れてるからかより一層カッコよくなっている。

車も男と一緒なのか……。雨に濡れれば色気が五割増しくらいになるんだね。

「え、本当に良いの？」
柏木「良いよ良いよ、ほら乗って」
「おじゃましま……」

入った瞬間、背中に薔薇を背負っている男の人がいた。
……うん？

柏木に似てる……。

「え、っと……」

君がAちゃんかな？と言うねっとりイケボ。
生で聴いたら耳どころか普通に妊娠するんじゃないか。

柏木「あー…俺の兄貴。紅士(あかし)」

*☼*―――――*☼*―――――

『柏木紅士(あかし)』

・柏木の兄
・ねっとりイケボ
・No. 1ホスト

部活…元演劇部
クラス…A組

「また会おうね子猫ちゃん♡」