いや、私女子なんだけど。［２］ (ページ45)

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９０話ページ45

「いった…」

今誰かに床ドンされている状態だ。
と言うか早くどいて欲しいんだが。

ごごごごめんなさい！！と焦っている相手。

そっと目を開けると、バスの中私の横で寝ていた男の子。

「あ、貴方もしかして極才学園のウィングスパイカー…？」

というか先輩かよ。嘘だろおい。

なんで知ってるの！？と言う先輩に、横で寝てたじゃん…と言えない。

富士山「お、俺富士山(ふじやま)勇気(ゆうき)。極学のウィングスパイカー。え、っと、君はマネージャーで良いんだよね？」
「あ、はい、極学のマネです、AAです」

いや、私凄い今感動してる。

何話か挟んでの自己紹介。
小川先輩以来だよ。

「えっと……今、部屋でトランプしてます？」
富士山「あ、今はトランプじゃなくてなんか大広間に集まって王様ゲームしてる」
「げ……王様ゲーム…」

良い思い出がない。(それ程やってないけど)

A連れてこいって言われて誰だよってなってたんだけど君かー、と笑う富士山先輩。

いや。私のこと見なかったことにして欲しい。

富士山「実は俺も…王様ゲームは良い思い出なくてさ」
「！逃げちゃいます？」
富士山「……Aちゃん、他の男にもそんなこと言ってるの？勘違いされるよ？」
「？なんのことかわかりませんが、とにかく逃げましょう！」

確かこの合宿所、裏が砂浜だったはず。

夜の砂浜は涼しいからね。
理科で習うよ。海陸風の影響でね。

砂浜で貝殻でも集めましょう、と言えば、じゃあ袋いる？とポケットから小さな袋を取り出す富士山先輩。準備周到どころじゃないんじゃないかこれ。四次元ポケット？

「わぁー！綺麗な貝殻いっぱいですね！」
富士山「夜でも綺麗な場所なのに誰もいないとなると…知る人ぞ知る穴場スポットってとこかな？あんまり海の方に行っちゃ濡れちゃうよ」

オカン……。

私は桃色の貝殻をジッと見つめる。

未だに初から電話がかかってこないのは不思議でたまらない。
なんでかっていうと、アイツ超過保護だし。今に電話がかかってくるだろうな…。

でも今は取る気はない。

「先輩、見てください、二つも見つけちゃいました！」
富士山「ふふ、Aちゃんは綺麗に笑うねえ…」
「？」

私の横にしゃがんで顔を覗き込んで笑う富士山先輩。

綺麗に…笑う？

その独特な表現方法の意味がわからない。

きっと富士山先輩は文系なんだな、という答えで解決した。ちなみに私も文系。