いや、私女子なんだけど。

２話※ ページ4

「ごめんね、待った？」
佐田「全然……って言って欲しいんだろ？」
「そこは嘘でも言っとくところよ」


じゃあ行きましょうか、と鍵を閉める。
他愛のない話をしながら待ち合わせの学園前に到着。


もうすでにいる野口は、黙っていればイケメンなんだよな、と思わせるほどにカッコいい。

サラッと長い髪を後ろで括っている。
静かに本を読んでいる姿は知性がある。


野口「…ぁ、おはようA」
「おはよう。ところで、何の本読んでるの？」
野口「あぁ、聞きたい？執事がお嬢様を襲う話なんだけどね？プレイ内容が凄く好みなんだ」
「聞かなきゃ良かったって今凄く後悔してる」



ところで、集合をかけた美原がまだ来ないという事実。
帰ってやろうか。


そしてその３０分後、ようやく来た美原。


「おい、クソ野郎」
美原「マジごめん！ちょっと女の子に捕まってさ」
「モテる自慢かよクソが。死ねよ」
美原「まぁ俺モテるし」


イラッとした様子の佐田。
いや、お前も充分モテてるから。

モテないの私ね？この場で怒っていいの私だけだからね？


まぁお前らがモテようと思ったら、まず男子校を転校しなければいけないがな。


「で、遊ぶって何するのよ」


まさか何も予定がないまま呼び出したんじゃないでしょうね…。
美原だったらありえる。


美原「？俺の家は？」
「は？」
美原「今日家誰もいないんだよね。なんでか」


お前置いてかれたんじゃねぇの、とボソッと言う佐田。

そうだよ置いてかれたんだよ。
うるさいから。


野口「俺はどこだっていいけど」
佐田「ゲームあるんなら…」
美原「はい決定」
「私の意見は！？尊重されないの！？」


当たり前だろ？という顔をした美原を殴ってしまいたい。

私に人権は。


「て言うか、本当に大丈夫なの？ほら、お昼ご飯とかどうするの？」
美原「え？お前が作るんじゃないの？」
「なんで私が」
美原「俺お前の手料理食ってみてぇ」



なんで私が、ともう一度思う。

馬鹿に振る舞う料理を勉強した覚えはない。

納得しないまま、佐田に腕を引かれて美原の家の前に到着。
【美原】と書かれた表札。

……デカくない？つーか私の家近いんだが。


美原「？入んねぇの？A」
「……いや、入るわよ」


玄関に立つ美原の傍を通って家の中に入る。
やっぱり広い……。


これが上級社会との差か、と考えていると、お茶を出される。


野口「美原の家は洋風なんだな」
「広いね」
美原「野口の家和風だもんなー。A、将来のお前の家だぞ」
「頭大丈夫？」

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