４５ ページ5
「なあ、授業中、何聞いてたん？」
「こいつ寝とるんやろ」
「治、あんたも寝とるの私知っとんで」
昼休み、いつもバレー部が使っているという空き教室にお邪魔させてもろて、勉強会を開いた。
「ね、A。ここはどうやって解くの？」
「…すまん、どこからつっこもうかと思ってたんやけど、誰？」
扉を開いた時当然のように座って、A、なんて呼んできたからまさか話したことあったかと思って流したけど、多分、話したことないよな。
馴れ馴れしく私の隣に座って物理の教科書を広げてくるチベットスナギツネ顔のイケメンに向き直る。
「角名倫太郎。4組。バレー部。苦手教科は物理。りんりんって呼んでね。よろしく、A」
「…そうか。りんりん、そこはこっちの公式使った方が早いで。この公式は、これとこれ合わせたやつやから…」
「そうなんだ。ありがとう」
ツッコミを放棄して、角名の頭の上を見る。
3日と、15時間…まあ、普通の数字やな。
流れで治と侑の数字も見る。
治が4日で、侑が…3、3分後！？
嘘やろ、ほんま…どういうことやねん…。
「Aチャン、ここどないするん？」
「あ、それは…」
慌てて向き直った私は、侑の手元を覗き込む。
古典がわからんらしい侑は、まず古典から始めるらしく、新品同様の教科書を持ってきた。
「あー、ここは品詞分解せなわかりにくいかもしれへんな。できる？」
「え！？お、おん…ん、んん…やっ、できへん…」
「……？」
どっちやねん。
どないしたんや、と不思議そうな治に、早くさっき渡したプリントを解くように言う。
確かに今なんか変やけど、ちょっと変なのはいつものことや。
とりあえず、と古典辞書を渡して、一人でできるところまで品詞分解をしてもらった。
真っ赤な顔をしながら、侑は下を向いて早るようにペンを動かす。
頭の上の数字は、5時間に延びていた。
なんやったんやろ、さっきの。
「せや、昼飯食わな、北さんにまたどやされる」
「え、まだ食べるん。治、さっき早弁して怒られてたやん」
「あれは間食や」
いや、私の顔くらいある弁当箱やったって。
呆れながら、私もカバンからさっき買った焼きそばパンを出した。
「それ一個でええん？」
「うん…私はもう運動してへんからな。それにしてもあんたら食べすぎちゃう」
男子高校生…というか、運動部男子の食欲にドン引きする。
でかい弁当箱二つに、購買で買い占めたパン…。
や、早弁してましたよね？
食費、1ヶ月でいくらくらいなんやろ…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
