鬼の呼吸の夢主ちゃんで、〇〇しないと出られない部屋 弐【鬼滅の刃】

「パーティーをしないと」出られない部屋【不死川実弥、玄弥、時透無一郎】☆ ページ9

※リクエストありがとうございます！


「…意図がわからねェ」
「今何時…？」


真夜中過ぎの話だった。もう就寝の準備をしてベッドに潜り込み、日課である冨岡先生の観察日記をスマホのメモにしたためていたAは、突然変わった周りの風景にしばらく動けずにいたのだ。
見れば、なかなかの広さの部屋に合計四人の人間が閉じ込められていた。

一人はキメツ学園の数学教師、とある事件から学園中に恐れられている不死川実弥。それから、その実の弟である、表彰を破り捨てられた弟玄弥。

次に、いつもどこか眠たげでありながら、先日電車に出没した変質者にパンチを喰らわせたで有名な将棋部のエース弟、時透無一郎。

最後が、立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花。1日で数多の男子生徒をその泥沼にも似た恋心に落とし、女生徒までもその虜にしてしまうと言われているキメツ学園のマドンナ、A。

さて、この四人は目を覚ますと、知らない場所にいた。部屋は何故かパーティー会場のように飾られている。
理由はわからないが、おそらく人知を超えた何かが起こっているに違いない。


「…あら？秒針が止まってるわ」


学年一肝が据わっていると有名なAは、学園一怖いと噂の実弥の腕時計を確認してそう呟いた。
玄弥はその様子を見て、兄が初めて女性と絡んでいる様に密かに感動する。

そして、4人はドアの上に書かれている文字に注目した。

『パーティーをしないと出られない部屋』と、確かに、はっきりと書かれている。


「何の目的かわからないけど、パーティーをしろってんならしてあげるわ」
「A先輩、パーティーしたことあるんですか？」
「ないけど」


見た目こそどこかの御令嬢だが、生まれも育ちも一般庶民のA。
パーティーなぞ無縁だ。

そして、誰もが見れば息を潜める美しさ故に、誕生日パーティーの類も行ったことがない。彼女が行けば緊張でパーティーどころではなくなってしまう。主役より目立ってしまうのはまずい。


「実弥ちゃんが知ってるわけないよね」
「テメェ舐めてんのかァ？」


ドスの効いた声をAに向ける実弥だが、Aはクスクス笑って顔が怖いから、と言い放つ。
強面で子供に好かれない実弥に、ここまで突っ込んだことを言える人は珍しい。

一同は、ゆっくりと部屋を見回す。
“A VERY MERRY UNBIRTHDAY TO YOU！”と書かれた帯に、なんとも言えない苛立ちを覚えた。


「…とりあえず、祝えばいいんじゃない？」


ところで、なんでもない日ってどうやって祝うんだろう。
4人の頭いっぱいに、同じ疑問が広がった。

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