NEXT ※若干背後注意 ページ14
不思議そうな顔をするAは、善逸の目を真っ直ぐ見つめている。
(そりゃあ、ちゃんとした婚姻届ならもっと緊張感を持って書くけど)
こんな強制的に書かされた婚姻届は無効なんじゃないか。そもそも自分達は未成年で、保護者の同意がないと婚姻を結ぶことはできないのだ。
もしかして知らないのか、とAがそれを説明しようとした時、Aが座っていたベッドがギシ、と沈んだ。
「ぜ、善逸？」
Aが声をかけても無言を貫く善逸に違和感を抱く。
普段ならば、自分がどこにいようが遠くから憧憬の眼差しを送ってくるような無垢な風紀委員が、今は何を考えているのかわからない圧迫感があって気圧される。
黙り込んでしまった善逸は、Aを上から見下ろして、じっとその宝石のような瞳を覗き込んでいた。
(何か気に触ることでも言っちゃったかしら？でも…)
付き合ってもいない男女が、突然婚約だなんて、お見合いじゃあるまいし。
Aは困り切ってしまって、その形のいい眉を下げて善逸に笑いかける。
「どうしちゃったの？いつもの善逸らしくないわ」
「ねぇ、Aちゃん。俺はさ？Aちゃんのことが好きだよ」
「そ、そうね？よく言ってるもの」
一日5回は。
善逸はペンを持つAの手を掴み、少し力を入れて彼女をベッドに押し倒した。
Aは混乱したように目をきょろきょろと忙しなく動かして、善逸の思惑を探っているようだった。
Aは人の感情を読み取ることに長けていたが、それでも今の善逸の心境は測り兼ねている。
手首を締め付ける善逸の力が痛いほどにAをベッドに縫い付ける。
Aが顔を歪めても、その力が緩められることはなく、善逸は怒りをぶつけるように力任せに彼女を拘束する。
「い、痛いわ。善逸」
「Aちゃんに怒るのは筋違いだってわかってるよ。でも、やっぱり…」
「……」
悲しそうな善逸の声に、Aは黙って耳を傾ける。
「籍を入れるって、俺にとってはすっごく大事なことで…」
「…そう。ごめんね、善逸。確かに、軽率だったわね」
善逸が手を離すと、Aは笑って起き上がった。
「そうね、誓うわ。この先善逸にいい人が現れなかったり、私のことを忘れられないなら」
その時はもう一度、ちゃんとあなたの名前の横に私の名前を書くわ。
Aが微笑んだ瞬間、ガチャンと扉が開く。
(もう、俺はAちゃんのこと忘れられそうにないんだけどな)
善逸は、新作パフェを目指して部屋を出るAを見送った。
「好きな体の部位に触れないと」出られない部屋【我妻善逸】→←「籍を入れないと」出られない部屋【我妻善逸】☆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
松々先輩(プロフ) - ぽれ氏さん» ありがとうございます！リクエスト了解です！リクエスト消化中ですので、少しお時間いただきます。 (3月6日 1時) (
レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ぽれ氏 - 全部読みました！めちゃめちゃ良くて惚れました((殴←黙れ☆よかったら悲鳴嶼さんのDキス＆一線超えないと出れない部屋見たいです！！よろしくお願いします(*´∀`)ﾉ (3月5日 1時) (レス) id: c56a87995a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 松々先輩さん» ぜひ！またリクエストしますので、その時はよろしくお願いします✡ﾖﾛ*.꒰ঌ˶'ᵕ'˶໒꒱.*ｼｸ✡ (2月29日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
松々先輩(プロフ) - ルナさん» こちらこそ、リクエストありがとうございます！ご満足いただけたようで嬉しいです。ぜひまた機会がございましたらよろしくお願いいたします。 (2月28日 15時) (レス) id: 0b2f636a57 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - とっても良かったです«٩(*´ ꒳ `*)۶»リクエスト書いてくれてありがとうございます(*´˘`*)♡ (2月27日 7時) (レス) id: 50582a260f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
