【鬼滅の刃】しあわせにしてあげる。【短編集】

#全てに縋ったのと全てを諦めたのは同時である。 ページ6

*おしるこぉ。さんリク

※現代設定です。


＿＿＿＿1日目。Aがウチに来た。というより連れてきた。

連れてきた理由?

…だってAはいつだってふらふらと他の人の元へ行く。俺じゃないところに。

炭治郎や錆兎の所に。笑顔で。行くのだ。


"Aとはずっと一緒にいなきゃいけない"。


俺はそういう呪いが自分にかかっているはずだから、居なきゃいけないのに。

でも俺にとってはとても幸せな呪いだけれど。

だって大好きなAと一緒に入れるのだ。

だから。嬉しい。すごく。すごくすごく嬉しい呪い。


…この呪い、蔦子姉さんの時にもあったらよかったのに。

あったら俺と姉さんはずっと部屋にいて。幸せに過ごせたのかな。

でももう今は遅いから。もう帰ってこないから。

だから。今は。今度こそは。絶対にAを離してやるものか。


｢……ぁ、｣


じじ、と小さく目の前のモニターが音を立てた。

Aが起きたのだろうか。少し強引に連れてきてしまったからなあ。

Aがいる部屋には、なるべくAの好きなものを沢山詰め込んだのだが…気に入ってくれるだろうか。

まあ窓とかドアには幾重にも鍵をかけたが。…逃げられたら困るじゃないか。

万が一Aに何かあった時のために…こうして監視カメラをいっぱい設置して、このように別部屋からモニターで監視できるようにしたのだが。

あぁ、これいいな。色んな角度からAが見える。相変わらず可愛い奴め。


…目を離すなり、ちらちらと辺りを確認したA。

どうやらここがどこか分かっていないらしい。俺の家なのに。なんだかちょっと寂しい。


そして自分の手に繋がれた"大きな手枷"を見るなり、短く悲鳴をあげた。

慌てて逃げようとしたのか…立ち上がって、その場から逃げようとするも、ツン、と躓いてしまう。


『…危ない。やめてくれA。Aが怪我する度心臓がいつも止まりそうになる』


どくどくと鳴る心臓に手を当てながら、モニターを見れば"足枷"を怯えた目で見つめるAがいて。


｢…どうだ?似合ってるぞ。……ふふ、これでAはどこにも行けないな｣



モニター越しに薄く笑った自分を見る。ああ、あんまりにも願っていた光景。ずっとAを自分の家に閉じ込めたいと思っていたのだから。

だってそうすれば、Aは蔦子姉さんのように"あっち"に行かないし。ね。大丈夫だA。

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