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気遣い ページ42



時刻は午後四時を過ぎた。大きな窓から入ってくる西日が、ざわめきでうるさい店内をオレンジ色に染めていく。その一方で、監督の買い出しメモに記された内容に一時は腹を立たせていたA達一向。

三人は分担して、手分けして商品をカゴの中へと入れていった。

「えっと…これと、これと。あとなんだっけ」

新たに持ってきたティッシュ箱を片手に、買い物カゴの中を覗きながらメモと真剣に向き合うA。そんな彼女の視界の端から、すっ…と月間ワールドのサッカー雑誌が差し出される。

「これだろ」

「あっ…そうそう、それそれ!」

海外の選手達が主にピックアップされたサッカー雑誌を受け取ったAは、カゴの中へ適当に投げ入れられたままの商品を整理して、本が折れないようにカゴの一番底へと入れた。

「あとは、監督の愛用シャンプーだな」

「それはたぶん灰崎くんが……」

「これだろ」

「わっ…!」

噂をすればなんとやら。片手をポケットに突っ込んで歩いていた灰崎が、シャンプーボトル投げる。Aが間一髪のところで慌ててキャッチをしたが、一歩間違えれば床に落ちていたことだろう。

「これで全部か?」

「ちょっと待ってね、確認するわ」

メモと買い物カゴの中を照らし合わせ、漏れがないように確認していくA。それを覗き込むように、ヒロトも隣で腕を組みながら見つめている。

「間違いないわ、これで全部よ」

そして全ての確認が終わると、Aは一人満足そうに頷いてから、メモをポケットにしまいこんだ。

「しっかし、どうでもいいけどすごい量だな」

「これだけ買い込めば、買い出しも当分なさそうね」

ヒロトが呆れ返るなか、Aはカゴを持つ手を反対の手へと変える。雑誌やトイレットペーパーなど、かさばった商品が多いため、それなりの重さはある。だが、持てないというほどでもなかった。

「じゃあ私はレジで会計するから、二人は外に……」

体をレジへ翻したAがそう言い終える前に上から、ひょいっとカゴを持ち上げられてしまう。

「え…灰崎くん?」

「後は俺がやるから、お前らは先に外で待ってろ」

後ろから投げられた声に体を翻すと、カゴを持った灰崎の姿が目に止まる。

突然灰崎の口から伝えられたその言葉と、彼らしからぬ積極的な行動に驚きつつも、Aは「あ、ありがとう……?」と、疑問符付きでお礼を言った。


(へぇ?灰崎の割には珍しく気が利くじゃねえか)
(珍しいと割にはは余計だ、ばーか)

歯車→←目的地



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設定タグ:イナズマイレブン , 吉良ヒロト , 灰崎凌兵   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:小雪 | 作成日時:2019年9月18日 14時

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