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途中下車 ページ34



予定外のハプニングもあり、途中下車する羽目になったおつかい組一行は徒歩で隣町までのルートを歩いていた。

「なんでここまできて徒歩なんだよ」

「お前らがみっともなく騒いだせいだろうが」

目的地に向かうまでの歩行距離の中でも、ロシアの街並みを体感しながら観光ができるため、退屈はしないが、ヒロトは歩くのがどうも面倒らしい。

「その話はもういいだろ。……なあ、車で行こうぜ」

「んなもんあるわけねぇだろ、バカかお前」

と、文句を垂れるヒロトに灰崎はご乱心のご様子。二人の間に挟まれるように歩くAは、変わりゆく景色に目を奪われながら、地下鉄で配られていたパンフレットを手に、すっかり観光を謳歌していた。

「ロシアの街並みって、いつ見てもほんと綺麗。昔のお城とか大聖堂とか、そのまま残ってたり展示されたりしてるから、すごくロマンティックよね。つくしさんがはしゃぐ気持ちも何となくわかるかも」

日本とは作りの違う、御伽噺などにでてくるような西洋の建物の数々にAは心を奪われる。女子ならば誰しも一度は憧れる境地だ。教科書やテレビなどでは味わうことのできない感動と興奮がある。

「本来の目的を忘れるなよ。俺たちはロシアの観光をするために遊びに来たわけじゃねぇんだからな」

浮かれるAを間に、ヒロトと共に彼女の隣を歩いていた灰崎が、ため息まじりに注意を呼びかける。

「子供じゃねーんだ、あんまりはしゃぐなよ」

「分かってる分かってる。観光はついでよ、ついで」

語尾に音符がつきそうなほど軽い口調。とても分かっているようには思えない。寄り道をしないだけマシか……と、灰崎はパンフレットと現地を交互に見比べながら目を輝かせるAを横目にそう思う。

「ロシアの地下鉄も日本とは比べ物にならないくらい豪華だったし、ちょっとお金持ちになった気分よね」

「ま、確かに凡人のお前とは縁遠い国ではあるよな」

頭の後ろで手を組んだまま歩くヒロトが、パンフレットを横から覗き見ながら懲りずに憎まれ口を叩くと、当然のごとく拳が振り下ろされる。

「〜〜ってぇなおい!!」

頭を項垂れ文句を吐き散らかすが、そこには彼女の姿がどこにも見当たらない。どうやら少し目を離した隙にいなくなってしまったようだ。

「あ?どこいったんだよ、Aのやつ」

やれやれと頭をさすりながら辺りを見回していると、ヒロトの目にショーウィンドウに両手をついて店の中を覗いているAの姿が止まった。

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設定タグ:イナズマイレブン , 吉良ヒロト , 灰崎凌兵   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:小雪 | 作成日時:2019年9月18日 14時

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