団結 ページ4
❀
『デスサンバ !! 』
ボールを取り戻したブラジル。
シュートチャンスを与えられた彼らは、連携技で、日本への追加点を試みる。対する円堂は、必殺技を使わず、シュートを真正面から受け止めた。
｢あっ…!!｣
しかし、胸で弾いた反動で、ボールがフィールドへと零れてしまう。その不意を突いたアルトゥールが、誰よりも先に零れ玉をゴールへと押し込んだことで、互いの得点は二対三の一点差へと広がった。
【ゴール！ブラジルに追加点!!】
甲高いホイッスルの音が鳴り響くと、観客席からは凄まじいほどの歓声が勢いよく沸き上がる。激しく揺れるゴールネットが、シュートの威力を表す。
｢円堂さん！｣
腕を伸ばした瞬間に、己自身も倒れてしまった円堂。地面に肩肘をつき、その上体を起き上がらせていた彼の元へ、明日人達がやってくる。
｢悪い、みんな｣
足元へと転がったボールをAが拾い上げ、起き上がったばかりの円堂に差し出すと、悔しげな顔で呟く。この一点が勝敗を分けてしまうことを、円堂は十分に理解しているのだろう。
＿＿そんな円堂に、明日人が言う。
｢安心してください、円堂さん！｣
｢明日人……？｣
｢一点なんて、俺達がすぐに取り返してみせます！｣
強いて同感を求めるような語気でもないから、仲間たちは何とも返事しようがない気持ちをただ微笑に現して頷いてだけいた。
｢お前ら……｣
明日人の言葉のそこに秘められた特別な響きに反応したように、円堂が一瞬目を伏せる。
そしてすぐに目を上げ、持っていたボールに力を込めると、いつものような明るい顔で｢あぁ、頼んだぞ！｣にししっと無邪気な笑顔を見せた。
＿＿勝負はまだ、終わってはいない。
日本ボールからの開始早々、ブラジルは二手に分かれる形で左右からの挟み撃ちを仕掛け、あっさりと灰崎からボールを奪っていく。
｢クソッ！｣
ミゲルからアルトゥールへとボールが渡り、そのまま日本陣内へと切り込んでいく。その行く手を阻まんと、中盤の後列にいたAが立ち塞がる。
｢(どっちから来る……右か、左か)｣
細かいパスを繋いでいくブラジル。左右に距離を開いてボールを蹴り合いながら攻め上がるアルトゥールとミゲルを前に、Aは目を素早く走らせる。
｢(ダメ、早すぎて相手の動きが全然読めない！)｣
目を凝らすように見ても、予測不能なブラジルチームの動きに、Aはついていくことができない。額から零れ落ちた冷や汗が、頬を伝って落ちた。
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年9月18日 14時
