星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ7)

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アフロディ降臨ページ7

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突然の発砲音にその場にいた者達は何が起きたのか一瞬理解ができず驚いて二の句が告げずにいた。選手達の目の前にはクラッカーを持つ監督の姿。紛れもなく彼の仕業であることが見て取れる。

「アツヤくんが来たばかりなのにもう補充メンバーを送りこんできたんですか？」

うねって来る色テープの浪。

繽紛と散る雪紙の中で髪に絡まったそれを鬱陶しそうに手で取って払いながら声を発したAの足元に、テープとは違う何かがひらひらと舞い落ちた。

「羽根？」

「綺麗ですね」

膝を折り、Aはその羽根を手にした。

まるで神様の翼の一部であったかのように神々しく光る黄色い羽根に光も興味が惹かれたのか中腰になって物珍しそうに見つめている。

「いったいどこから」

「確かに、室内に鳥なんて飛んでませんし」

「黄色い翼を持つ鳥も珍しい気がするけど」

室内でもあるに関わらず、舞い落ちてきた不思議な羽根を眺めながら腰を上げてゆっくりと立ち上がったAは光と顔を見合わせると首を傾げた。

「見てくださいあれ！」

不意に声を上げたつくしが天井に向かって指をさした。不思議に思ったAが光と共にその指先を辿っていくと、突然周りの景色が神々しく輝き始める。

顔を上げた選手達の真上から無数の羽根がひらり、ひらりと落ちてゆく。その美しい羽根に紛れて姿を現した一人の少年がいた。

風に揺られて艶のかかった美しい金髪が波を打つように靡き、少年の後ろには後光が射している。

「は、わ……」

「先輩！？」

中性的な美貌を持つ神のような少年に引き締まりのない緩みきった顔でだらしない声が思わず口から漏れた。見惚れている彼女に気が気でない光だけが、慌てた様子を見せている。

それはなにもAだけではない。つくしと杏奈すらもその美しさに目を奪われ、虜になっていた。

「やあ、久しぶりだね円堂くん」

羽根の上に着地をし、顔を上げた少年は親しげに名前を呼んで整った顔立ちで綺麗に微笑む。円堂は彼のことをよく知っていた。

「よく来たなアフロディ！」

「円堂くん、君と同じチームで
世界と戦えるなんて胸が躍る思いだよ」

新たなる追加補充メンバー、それは

世宇子中キャプテン、アフロディだった。

戦いを通して、良き仲間となった

二人は再会の握手を交わし合う。

「(綺麗……)」

腰まであるストレートを手で

後ろに払い、髪を靡かせるその姿は

Aすらも羨むほどの美しさだった。