利根川東泉 ページ45
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雷門イレブンが攻め上がる中、防戦一方の利根川イレブン。明日人から剛陣へのロングパスが繋がり剛陣は渾身のシュートを放った。
しかし、円堂はそのシュートを難なくカット。
ボールは再び剛陣の元へと転がり込んだ。
「よこせ、俺がやる！」
剛陣のボールを小僧丸が奪い取る。
そのまま彼の十八番である「ファイアトルネード」が利根川東泉の円堂守へと直撃したが
円堂は剛陣のシュートを止めた時のように
必殺技を使うことなく
小僧丸の必殺シュートを足蹴りで蹴り返した。
格の違いを見せつけられ、戸惑う雷門。
ボールはそのまま利根川東泉のリベロである
「坂野上昇」へと繋がれた。
「小僧丸くんのファイアトルネードを足で止めちゃうなんて...」
救急箱を抱えながらつくしが驚いた表情で固まる。雷門に緊迫とした空気が流れる中、場違いな発言がつくしたちの耳へ流れ込んだ。
「さすが円堂さん!!」
その声はいつも聞いている女の子の声。
聞き慣れたその声に、一同は視線を彼女に向けた
「...Aちゃん？」
つくしが彼女の名を呼んだ。
そう、そこには目を輝かせながら嬉しそうに
微笑んでいたAの姿。
彼女もまた、周りの視線に気がついたのか
小さく、コホンと咳払いをすると口を開いた。
「それにしてもおかしいですね...」
「あー！誤魔化した！」
つくしが、ぷくっと頬を膨らませていると
Aは頭の後ろで大量の冷や汗を流していた。
「おかしいって、何が？」
助け舟を杏奈が出すと、つくしの興味も
その質問へと逸れてしまう。
「いつもの円堂さんなら、相手が必殺技を放てば、自らもそれに応えるように、決まって必殺技を出していた。」
Aがそう言い添えると「そういえば...」とつくしも納得したように顎に手を当てていた。
「なのに今回は、小僧丸くんのシュートを足で止めた。まるで、彼らを煽っているようなプレーで」
格の違いをみせつけられた、とでも
言えばわかりやすいだろう。
Aの言うとおり、現に格の違いを見せられた
雷門イレブンは少なからず動揺していた。
逆に、円堂守が二度もシュートを止めたことで
利根川東泉の士気が上がりはじめていたのだ。
「これは...」
先程とは形勢が逆転したことに気がついたのか
コーチが喉を鳴らした。
「一人一人の能力が、特別にすごいわけじゃない。なのに...」
守りも攻撃も、どちらも絶妙なバランスを保っていた。杏奈は、頬に冷や汗が伝うのを感じた
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
