最後の力 ページ24
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選手一人一人の勝ちたいという強い気持ちが、よりいい試合へと進めていく。
「俺は勝ちたいんだ、このチームで！日本一になるためにな！」
ヒロトの口から出たその言葉に、一同は目を見開く。初めて聞いた彼の思いに、永世学園の選手たちは心を動かされる。
ベンチで一部始終を見ていた監督が唸り声をあげると口を開いた。
「そろそろ勝負を決めてくるようですねぇ。」
「ここで点を取られたらまずいですよ！」
冷静な監督とは反対に、慌てた口調で話すつくし。居た堪れないのはここにいる皆も同じだ。
「そんなことになったら...。」
「永世学園の勝利は確実」
杏奈、Aが顔を見合わせ、応対し合う。
アディショナルタイムへと突入し、次の一点が勝敗を決するというのはここにいる全員が承知していた。そこに、勝利に向けて永世イレブンが最後の力を振り絞って攻め上がる。
「決めるぞ、ヒロト！」
「おう！」
タツヤの流星ブレードと、ヒロトのジグザグストライクの複合技「コズミックブラスター」
空中で散開していくボールを蹴り合い、太陽をも飲み込むブラックホールを作りだした。例えるならばそう、皆既日食。
「なんでゴス...この威力は!?」
あまりのシュート威力に、岩戸のザ・ウォールまでもが粉々に粉砕されてしまう。
「もう駄目...」とのりかが威力に負けそうになったその時、背中に暖かい温もりを感じた。FWにいた明日人と小僧丸の二人が、窮地に駆けつけたのだ。
「ギリギリ間に合ったな。」
間一髪だと、小僧丸が冷や汗をかきながら言う。
「二人とも、ありがとう！」
二人の助力もあり、三人がかりでゴールを死守することができた雷門中。初の必殺技を止められたことにより、永世学園の士気は低下。
ここがチャンスだと言わんばかりに、のりか、明日人、小僧丸の三人は最後の力を振り絞って「北極グマ二号」をうち放った。
「いいぞお前ら、最高に熱いぞ！」
最後の勝負に挑む砂木沼はその技に立ち向かうべく「ドリルスマッシャー」を解き放つ。
「お願い...決まってッ!!」
情けない声を出して、Aは祈るように手を胸の前で握り合うと固く目をつぶった。
耐え凌いでいた砂木沼であったが、北極グマ二号の威力は凄まじく、そのままボールに吹き飛ばされてしまった。
ここで永世学園は、最後のゴールを許してしまう。
そして試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。
選手たちの思いが交錯した試合が今、ここに終了したのだった。
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年8月10日 20時
