時を超えた想いを6【アレスの天秤】 (ページ12)

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第20話:必殺奥義...その名はページ12

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前半残りわずかの中で、永世学園は再び基山タツヤを投入してきた。四対四の同点で手に汗握る展開の中、ついにタツヤとヒロトがフィールドで相見える。

「そんな足じゃロクなプレーができねぇだろ？黙って俺のプレーでも見てるんだな。」

一時的な治療とは言え、テーピングをしただけの足を気にしていたタツヤにヒロトが言い放つ。

「俺はただ、サッカーをするためだけにフィールドに帰ってきたんじゃない。」

彼の茶を濁す言葉が引っかかったヒロトが目線だけをタツヤに向ける。

「お前にサッカーを教えにきたんだ。」

真剣な目つきで告げたヒロト。

「あぁ!? この俺にサッカーを？」

タツヤの突拍子もない発言にヒロトは「お前頭でも打ったのか？」と言い、その意味をまるで理解していなかった。

試合が再開され、永世学園ボールからのリスタート。吉良ヒロトが変わらず一人で雷門陣内へと切り込んでいく背後から、タツヤが彼に助言した。

「よく聞けヒロト！お前自身をレベルアップさせる必殺奥義を伝授してやる！」

次々と雷門選手を抜いていく絶好調の自分に何を言うかと思えば...。ヒロトはタツヤの言葉を鼻で笑い飛ばすとボールをキープしながら口を開いた。

「必殺奥義だと？お前が俺に？中々おもしろいジョークだな！」

相手ディフェンダーからのスライディングをなんなくかわしたヒロトは変わらずボールを蹴り続ける。

「ジョークはあの女の顔だけにしてもらいたいもんだぜ！」

ヒロトが小馬鹿にしたような発言をした数秒後、永世ベンチにいたAが小さくクシャミをした。

「なんか今ものすごくバカにされた気が...。」

何となくそんな気がしたAは高笑いをしながらボールをキープし続けていたヒロトを睨みつける。

「大丈夫？」

八神が心配そうに訊ねると、隣にいた南雲がやれやれといったご様子で口を開いた。

「おいおい、サッカー監視役のクセに自分の体調管理ひとつもできねぇのかよ。」

情けねぇ、と首を左右に振る南雲に「あんたに言われたかないわ」と言いたい気持ちをぐっと堪えて苦虫を噛み潰したような笑みを零したA。

吉良ヒロトの巧みなサッカーテクニックに翻弄される雷門イレブン。調子を良くしたヒロトがタツヤに向かって先程の必殺奥義とやらを聞いてやる、と自ら名乗り出た。

「必殺奥義...その名は

パスだ！！」

タツヤがそう叫んだ数秒後、

拍子抜けしたヒロトの「はぁ!?」と言った呆れ声がフィールドに響き渡った。