にじゅうはち ページ29
( Shunpei )
「何言ってんの？お前」
「俺が好きなのはあゆみちゃんの顔だ。だからこのまま海根さんと付き合うことにした」
あまりにも淡々と言い放つ公史郎に、しろちゃんのためにも、と言っていたAを思い出して自分たちの計画の有用性を疑う。
「彼女が身体奪われてるんちゃうん、お前がそんなんでどうすんねん」
「じゃあこっちも質問させてもらう。
お前らは何を企んでる？」
「は？なに企んでるって、人聞き悪いな。しかもお前らって」
「Aちゃん」
公史郎は俺の質問を見越していたのか、すかさず遮って彼女の名前を口にする。
そうなんだろと念押しされるように言われれば、なんと言ったらいいのか迷って押し黙る。
「何をしようとしているのかは知らない。だけどAちゃんはやりすぎるところがあるから――」
耳に入った言葉に反射的におい、と自分でも少し驚くような低い声が出る。
「Aのこと悪く言うんやったら、いくら公史郎でも容赦せんぞ」
「火賀もだろ？お前もAちゃんのことになると周りが見えない」
「俺がAを見捨てたら、あいつはほんまに独りになる。俺しかおらんねん、隣にいてやれんのは」
「…じゃあ、仲良くあゆみちゃんを支えてやれよ」
未だ読み取れない表情のまま、ため息をついて教室から出て行ってしまった公史郎。
ついカッとなって詰め寄ったが、Aが理解されきれていないことに不満を覚えたのは事実だった。
彼女は、ただ不器用なだけだ。
まっすぐいけばいいものを、その聡明な頭脳と敏感な心を駆使して遠回りする。
だけどそれは、彼女自身がそうされてきたから。それしか知らないから。
いや、それさえも理想論かもしれないが、俺ができることは彼女を愛して、守ってやることだけ。
そのもどかしさにいつになったらその目に俺だけを映してくれるんだろうと思うが、彼女も女の子だ。
同性の友達が欲しい気持ちはわかる、だけど傷つくのは怖いから。
こうして回りくどいやり方でしか確認できないんだと思うとそれさえも愛しさに変わる。
そこまで考えて、スマホの通知音で我に返った。
画面には常に俺の頭を支配する彼女の名前が表示されていて、名前を見ただけで早くそばに行ってやりたいという気持ちが浮上することに苦笑しながら足早に教室を出た。
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ふぅ - 続き楽しみにしてます！ (2021年5月15日 14時) (
レス) id: e27c2c145d (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 凄く面白いので続きが読みたいです！更新待ってます！！ (2021年4月5日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - コメント失礼します！とても繊細なストーリー好きすぎます…！！またお時間に余裕がありましたら、更新して頂けると嬉しいです！！大好きな作品です！ (2021年2月1日 6時) (レス) id: fd1c6c399d (このIDを非表示/違反報告)
オムライス(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月6日 14時) (レス) id: 3df1040212 (このIDを非表示/違反報告)
冬葉(プロフ) - ptfさん» 返信ありがとうございます！楽しみに待たせていたただきますね！ (2020年6月29日 17時) (レス) id: 8304f0e3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ptf | 作成日時：2019年7月22日 23時
