溢れる気持ち 7 ページ35
一緒にリビングに戻ると、ベッドに帰らずにソファに座る北山が、仕事から帰ってきた時のままの服でいることが気になって声を掛けた
「北山、さっきずいぶん汗かいてたから、着替えた方がいいよ」
「あ…うん
そうだな」
なんだかまだ少しぼんやりしている北山が、その場で服を脱ごうとするから慌てて目を逸らす
いや、男同士だし、いいんだろうけど
熱があると言うのに、まだ着る物を用意してないのに、
先に脱いじゃうところとかが北山らしい気もするが、
さっきまで拭いてやっていた首筋から胸元にかけての色気の半端なさをうっかり思い出してしまい、
今の俺には刺激が強過ぎて、騒ぐ胸をなんとか抑える
慌ててその辺りにあったTシャツを手渡し、ベッドから剥がした毛布も渡すと、ソファに丸まってまた横になったのでほっとした
今日の北山は、いちいち心臓に悪い
ソファに近づき、様子を伺うと、まだ顔色は良くない
さっきから塩分の入った水を飲ませてはいるが、全然食べてないし血糖値が下がってるかも知れない
「もし食べられそうなら何か食べた方がいいよ」
「あんまり食いたくない」
まだ具合が良くないんだろう
治すことに集中している身体が、食欲まで回らないのかも知れない
「じゃあスープだけでも
薬飲まないといけないだろ?
準備するから少し待ってて」
「…用意してくれんの?」
「何も出来ないから、あっためるだけだけどね」
「…ありがとう」
引っ張り上げた毛布に潜り込む北山は、半分だけ顔を出して、熱を持った目で俺を見上げる
「…まだ辛そうだな」
「ん…」
「あ…そうだ」
さっき、食事と一緒に薬局で買ってきた冷たい枕を思い出し、袋から取り出した
タオルを巻いて北山の首を持ち上げ、その下に差し入れる
それからキッチンに戻ってタオルを絞り、電子レンジに入れて蒸しタオルにすると、少し冷まして北山の目の上にそっと置いた
「…なにこれ
気持ちいい…」
「疲れてるんだと思う
目を閉じてたほうがいい
すぐに用意するから」
「ん…」
「ここに、水置いておくから、気付いたら飲んで」
「………ん………」
短く答えて、おとなしく体を丸める北山が、なんとなく痛々しい
俺に対してはもうずっと見たことがないが、遠くからでも北山のきらきらした笑顔を見ていたい
本当に早く治って欲しいと心から思った

338人がお気に入り

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひろ(プロフ) - seaぺこさん» seaぺこさん💕そうなんです😆まさにみつはほっぺたが潰れるくらいにFさんに押し付けているのですseaぺこさんの想像されている映像と私のイメージがぴったりで、伝わっている事がとても嬉しいです🥰 胸のざわざわも一緒に乗り越えましょう🥺 (2023年6月7日 8時) (レス) id: a7ac955b44 (このIDを非表示/違反報告)
seaぺこ(プロフ) - まひろさん♡落ち着かない気持ちの中、更新ありがとうございます。みちゅが本当に可愛くて、Fさんの胸にぷくぷくほっぺを潰してくっついてる姿を脳内映像にして悶絶しております。永遠に続いてほしい♡…今日は噂通りの日になるのでしょうか…幸せであってほしい… (2023年6月7日 0時) (レス) @page50 id: 490b4b0fa3 (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - piroponcandyさん» 初めまして💕お読みいただきありがとうございます🥰みつが、piroponcandy様の癒しになれてとても嬉しいです💕最後の見直し後、本日日付けが変わる頃49話まで掲載しますので、続きもぜひ宜しくお願い致します🥰 (2023年6月6日 16時) (レス) @page48 id: a7ac955b44 (このIDを非表示/違反報告)
piroponcandy(プロフ) - まひろさん、初めまして。天使のみつ読ませて頂いてます。この作品は、私の癒しですね(╹◡╹)♡こんな天使ちゃんなら、私も欲しい💕続き楽しみにしてます。 (2023年6月6日 14時) (レス) @page47 id: bcc9486015 (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - ちびさん» ちびさん💕ありがとうございます💕コメント、とても励みになります!最後まで頑張って書き上げますので、この後もどうぞよろしくお願いいたします💕 (2023年5月23日 23時) (レス) id: a7ac955b44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まひろ | 作成日時:2023年4月30日 7時