溢れる気持ち 4 ページ32
北山の家の駐車場に車を止め、後部座席に回ると、北山は横になっていた
「北山、大丈夫そう?」
出来るだけ頭に触らないよう、そっと声をかける
「あ…着いた?
ごめん、寝ちゃってた
助かったよ、ありがとう」
急いで起きあがろうとしてまたふらつくので、そっとその身体を支えれば、ふんわりと北山の匂いがする
慌てて両手でその身体を離した
「あのさ…よかったら
部屋まで送るけど」
「え?!」
今日一、驚いている北山に、今までの俺の態度を考えればそりゃそうだよな、と思いながらもどうしても心配だった
「何もできないけど…心配だし」
「いや、そんな、いいよ
その…気持ちだけで十分だって」
「それ、遠慮?
もし遠慮ならしなくていいよ
嫌ならもちろん部屋には入らない
荷物だけ運んで帰るから、ちゃんと言ってくれて大丈夫」
弱っている姿を見せたくないかもしれないから、嫌な感じにならないように、出来るだけ言葉を選んだ
「………藤ヶ谷
ありがとう、お願いする」
このまま帰る方が心配だったから、そう言ってくれたことにむしろホッとして、車から荷物を下ろして肩に下げ、北山を支えるようにして車を降りた
北山の家に入って荷物を下ろし、帰ろうとすると、運んで欲しいと言われたので部屋に入る
とてもさっぱりと片付いた、北山の家
今、そんな家の感想なんか言ってる場合ではないので、荷物を下ろす場所を聞き、ベッドまで送り届けた
早速横になってしまった北山は、相当具合が悪いんだろう
「北山、大丈夫?
具合はどんな?」
「……目がぐるぐるする……」
それは辛いだろうな、少し休んだ方がいいだろうと思い、上着だけ脱がせてそっと布団を掛けた
「藤ヶ谷…」
「ん?」
「もうちょっとここに居て…」
腕で目を覆いながら、弱々しくいう北山のその言葉に、胸がぎゅっと掴まれた
そんなこと言ってくれるなんて
俺を、頼ってくれるなんて、
いったい、いつ以来だろう
もしかすると、今まで一度も無かったかもしれない
熱く胸に込み上げる気持ちをなんとか抑え、
「………北山、大丈夫だよ
ここにいるから」
それは、本当に、無意識だった
気付けば、俺の手は北山の頭を撫でていた
まるで、みつにするみたいに
自分でも思いもかけない行動だった
そして北山も何も言わずに受け入れていた

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まひろ(プロフ) - seaぺこさん» seaぺこさん💕そうなんです😆まさにみつはほっぺたが潰れるくらいにFさんに押し付けているのですseaぺこさんの想像されている映像と私のイメージがぴったりで、伝わっている事がとても嬉しいです🥰 胸のざわざわも一緒に乗り越えましょう🥺 (2023年6月7日 8時) (レス) id: a7ac955b44 (このIDを非表示/違反報告)
seaぺこ(プロフ) - まひろさん♡落ち着かない気持ちの中、更新ありがとうございます。みちゅが本当に可愛くて、Fさんの胸にぷくぷくほっぺを潰してくっついてる姿を脳内映像にして悶絶しております。永遠に続いてほしい♡…今日は噂通りの日になるのでしょうか…幸せであってほしい… (2023年6月7日 0時) (レス) @page50 id: 490b4b0fa3 (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - piroponcandyさん» 初めまして💕お読みいただきありがとうございます🥰みつが、piroponcandy様の癒しになれてとても嬉しいです💕最後の見直し後、本日日付けが変わる頃49話まで掲載しますので、続きもぜひ宜しくお願い致します🥰 (2023年6月6日 16時) (レス) @page48 id: a7ac955b44 (このIDを非表示/違反報告)
piroponcandy(プロフ) - まひろさん、初めまして。天使のみつ読ませて頂いてます。この作品は、私の癒しですね(╹◡╹)♡こんな天使ちゃんなら、私も欲しい💕続き楽しみにしてます。 (2023年6月6日 14時) (レス) @page47 id: bcc9486015 (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - ちびさん» ちびさん💕ありがとうございます💕コメント、とても励みになります!最後まで頑張って書き上げますので、この後もどうぞよろしくお願いいたします💕 (2023年5月23日 23時) (レス) id: a7ac955b44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まひろ | 作成日時:2023年4月30日 7時