エースの義兄は愛読者【ONE PIECE】

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長時間熟考が男の神経を逆撫でしたのか知らないが、男は激昂した。ブクブクと泡が体から溢れ出して、道が泡だらけになる。


取り敢えず、おばちゃんに逃げてもらっておれは男を真っ直ぐに見た。カリファとナミの戦闘シーンはすっごく面白かったし、カリファに泡という能力は似合ってた。

だが、この男は正直ぜんっぜん泡と似合ってない。むしろ穢らわしい。

よし、海に放り投げよう。


こいつに罪はないけど……いや、あるわ。食い逃げしてるわ、こいつ。

……あ、待って！おれの弟たちもついさっき食い逃げしてた！うわ、こいつと一緒じゃん！まぁ、あいつらはいずれ宝払いするだろうし、こいつとは違う筈。違う……よな？



嫌なことを考えてしまったが、これも未来の海賊王とその一味を育てる為。

なんて思想で人を殺めるのはどうかと思うんだけど。分かってるけど……。



『……よし』



意を決して、おれは操縛布に手を取った。



その時だった。目の前の男がいきなり倒れたのだ。鮮やかに血が弾け飛んで、男はピクリとも動かなくなった。


おっとぉ……。



「あーあー、死んじまったよ」

「そんなに軽率に殺っちゃって良かったのか？」

「まー、いいだろ。邪魔者はとっとと消え失せねェのが悪ィ」

「まぁ、それもそうだな」


倫理観がバグった奴らだ。道徳の授業受けたこと無さそう。てか、道徳って言葉自体を知ってるのだろうか。


ヤベェ奴らだと会話で判断し、おれはスーーっと静かにその場を後にした。いや、厳密には“しようとした”。


「おいおい、逃げんじゃねェよ。お前に用があるんだ」


どう考えたって俺に向けられた言葉。別にお前から逃げようとしたわけじゃねぇし！面倒方から逃げたかっただけだし！！てか、“用がある”とか危険な匂いしかしねェ……


『いや、あの、では！失礼しまーす！』

「逃げるなって言っただろーがァァ！！」


どうせ話の通じない脳筋バカだろうと判断。おれは操縛布を巧みに操って街に溶け込むように逃げた。

後を追うチンピラども。にしても、奴らはおれに何の用があったんだ？

チンピラとおれとなんて因縁しかないだろうから、喧嘩売ろうとしたのかな。

ポルシェーミをノしたおれだし、エースたちの海賊貯金の手伝いでチンピラを相手にしたりもした。そもそもあの三兄弟自体が色んなとこに喧嘩売りまくってるから兄貴であるおれにその因縁が巡り巡って来る時だってあったし……

うーん、思い当たる節が多すぎるな。

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