・ ページ18
サボside
昨日、エースから面白いことを言われた。
「おれの兄貴を連れてくる」
兄貴！？って、その時はものすごく驚いた。
話を聞けば、最近帰ってきた兄貴がいるらしい。なんだそれ。初めて聞いたぞ、そんな話。そうやってエースを問い詰めれば、“悪ィ！でも、楽しみにしててくれ！”って、嬉しそうに言うもんだから、それ以上は何も言えなかった。
その後、その兄貴の話を聞いて、エースとは別れた。
エースの兄貴かぁ、とポツリと呟いた。どんな奴だろう。エースと似てる？それとも全然違う？エースがあんなにも笑顔だったんだ、良い奴ってことには間違いなさそうなんだけど……。
思考を巡らせながら、いつもエースが来る方角を見る。心なしか緊張していて、乾いた唇を舐めて唾を飲み込んだ。なんとなく髪も整えて、帽子を触る。
いつも以上にソワソワしている。バカ、そんなのカッコ悪いだろ。そう自分に言って、心を落ち着かせた。
その数分後。漸く、エースとその兄貴がやってきた。
エースは兄貴のことをチラチラと横目で見ては視線を下に落とすことを繰り返していた。兄貴の方はと言うと、その行動に小さく微笑むだけで、なんだか余裕そう。大人っぽいというのが、第一印象だ。
癖のある黒髪はエースと似てる。瞳は綺麗な水色。肌は白くて、マフラーみたいな布を首元に巻かれていた。背はおれらよりも高くて、柔らかい雰囲気。時々口元から覗く八重歯はなんだか可愛らしい。例えるなら、黒猫だ。
エースはおれと目が合うなり、トタタタッとおれの元まで走ってきて耳打ちした。
「余計なこと言うなよ……！」
どうやら、余計なことを言って欲しいらしい。
「あー、わかったわかった」
「お前それ分かってねーだろ！！」
適当に返事すれば、鋭いツッコミが飛んできた。それに対し、おれはへへっと笑ってやる。エースは「このっ…」と悔しそうな声を漏らす。
おれらの会話を聞いて、エースの兄貴がクスッと小さく笑った。その笑い声で空気が一気に和む。
エースは謎の咳払いをして兄貴の紹介をしてくれた。
「おれの兄貴のAだ」
『Aです。よろしくね、サボ』
「おれの名前…！」
『来る途中、エースから君のことは色々聞いたからね』
「ちょｯ…！」
「なるほどな。おれもAのことはエースからたくさん聞いてた」
「サボ！」
赤面するエースを他所に、おれとAは握手した。Aの手はマメでゴツゴツしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1392人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
笑舞♪(プロフ) - 潮見さん» コメントありがとうございます！1番！！めちゃくちゃ嬉しいです…！更新頑張ります！ (2022年10月29日 16時) (
レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
潮見 - 面白すぎます！ASLの兄貴っていう作品の中で1番好きです！更新楽しみにしてます〜 (2022年9月26日 8時) (レス) @page39 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
笑舞♪(プロフ) - 紅碧さん» コメントありがとうございます！好みドンピシャ！嬉しいです！これからも更新頑張りますね〜！ (2022年9月24日 15時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
笑舞♪(プロフ) - seeenraaaさん» 返信遅くなり、すみません。も幸せだなんて…！嬉しい限りです。これからも、頑張って更新しますね！ (2022年9月24日 15時) (レス) id: 938f6d2c76 (このIDを非表示/違反報告)
紅碧(プロフ) - めちゃくちゃ最っ高でした！！私の好みにドンピシャでニヤニヤしながら見ちゃいましたw続き楽しみにしています！ (2022年9月20日 21時) (レス) @page36 id: 48ad6ad27f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
