非才ヒーロー。(旧:私もヒーロになりたいのに。) (ページ29)

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#29 ページ29

inm「なんかAちゃん勘違いしてない…？！何でオレが怒ってると思ってる？」

『え、二人三脚好きなのに私が声掛けなかったから、？』

inm「ふふ、全然そんなんじゃ……あははっ！」

さっきまでの張り詰めた空気は何だったのか、ライくんは急に笑い始めた。私には理由が分からなくて、叢雲くんと一緒に唖然としていた。

inm「はぁ〜、アホらし！こんな事悩んでたなんて。ごめんねAちゃん、気まずかったよね」

『いや、そんなのは全然良いんだけど…。結局ライくんは何で怒ってたの？』

inm「んー、内緒」

私の膝に絆創膏を貼り終えたライくんはこちらを見上げ口に人差し指を当てて笑う。イタズラが成功した子供のように笑うライくんを見て、私も自然と笑顔になった。

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『じゃ、そろそろ戻ろっか』

叢雲くんの手当ても終わり、ライくんに感謝を告げて星導くん達の所へ戻ろうと後ろを向いて歩き始める。

『…叢雲くん？戻らないの？』

私の足音しか聞こえないことに気付き後ろの叢雲くんに声をかけた。叢雲くんは俯いていて表情が読めなかった。

mrkm「…ぼく、伊波とちょっと話あるから先戻っててくれん？」

『話？待ってよっか？』

mrkm「んや、大丈夫」

『そっか、じゃあまた後で』

mrkm「おー」

私がいたら出来ない話なのか、と気になりながらも星導くん達の所へ早足で戻った。

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inm視点

inm「どしたの？改まって」

カゲツが話があるなんて言うことがあまり無いため、謎に緊張していた。早足で戻っていったAちゃんの背中を見つめるカゲツが何を考えているのか、全く読めなかった。

mrkm「すまん、ぼく、伊波の事応援できんわ」

inm「…応援？」

普段と違うカゲツが気になって隣に並んだ時、急に思ってもいないことを言われて驚いた。それからカゲツはぽつりぽつりと話し始める。

mrkm「二人三脚、ただやりたかったから立候補したんやけどさ。今日初めてなんよ、Aさんとちゃんと話すの。それにAさんはライの好きな人やから、何もないって思ったんたんやけどさ」

星導やマナと話しているAちゃんを見つめるカゲツの目はとても優しく、頬も緩んでいた。

mrkm「ぼく、Aちゃんのこと好きになっちゃった。伊波の方が先に好きになったって、わかっとるんやけど」

カゲツはオレに向き直す。カゲツは困り眉になっていたが真っすぐな目をしていた。

mrkm「伊波のAさんのこと好きな気持ち、応援できん。」