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ちょうど膝の怪我まだ手当てしてないから、ということでライくんを探して手当てしてもらうついでにちゃんと話すことになった。朝から話していないため若干の気まずさを感じつつ、叢雲くんと2人でライくんを探す。
mrkm「なぁ、Aさん」
横に並び歩きながらライくんを探していた時、不意に叢雲くんに名前を呼ばれた。なに?と顔を向ける。
mrkm「もしさ、あの時ライも二人三脚組むって言っとったら、ぼくとライどっち選んでた?」
思ってもみない質問の内容で驚き、内容を理解するのに時間がかかった。あの時、というのは先生が佐藤さんの代わりに私と組んでくれる人を聞いた時のことだろうか。
『……叢雲くんかな。ライくん保健委員の仕事あって申し訳ないし』
そう答えると叢雲は前を向き直し、そっか、と呟いた。質問をしたときよりも晴れ晴れとした声色だった。叢雲くんは一歩分くらいあった私との距離をぐっと縮めて腕が触れそうなくらい近い距離で並んで歩く。急にどうしたんだろうと叢雲くんの顔を覗くとにこにこと笑っていたので何も言わないでおいた。
mrkm「あ、伊波おるやん。伊波ぃー!!」
ちょうど救急箱を持って歩いていたライくんを見つけ、叢雲くんが大声で呼んだ。ライくんはびっくりした表情をしてこちらを振り返る。私を見て少し表情が曇ったのを見てしまい、少し気まずい。思わず足が止まった私の腕を引き叢雲くんはライくんのもとへ早歩きで向かう。
inm「……何?」
mrkm「ぼくとAさんの足、手当てしてほしいんやけど」
inm「あぁ…いいけど」
mrkm「さんきゅ、じゃAさん先にしてもらい」
『ありがとう』
ライくんは救急箱からガーゼや消毒液などを取り出す。その間私たちは何も言葉を発さず、静かな時間が続いた。
inm「……ねぇ、Aちゃん」
自分から話しかけないといけないよな、と思っていた時、ライくんに呼ばれた。冷静を装いながら返事をする。
inm「…なんで二人三脚、声かけてくれなかったの。声かけてくれたら、オレが一緒に走ってたのに」
『…ごめ__』
inm「オレ、Aちゃんと結構仲良いと思ってたし、何か困ったことがあったら気軽に言い合えるような仲だと思ってたんだけど。違かった?」
言い方は乱暴だけれど、消毒液を染み込ませたガーゼで傷を拭くのは優しくて、染みなかった。
『ごめん、私…そんなにライくんが二人三脚が好きだって知らなくて……』
inm「……は??」
『……………え??』
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作者名:Rin_0928 | 作成日時:2025年8月4日 8時


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