非才ヒーロー。(旧:私もヒーロになりたいのに。) (ページ16)

今日:4 hit、昨日:24 hit、合計:18,789 hit

#16 ページ16

私の耳をふさいで、悲しそうな顔をする星導くん。星導くんが耳をふさいでくれているおかげで何も聞こえないし、抱き合えてしまえそうなほど近くにいてくれているおかげで視界に星導くんしか映らない。
とめどなく溢れる涙が私の頬を濡らす。星導くんに話したいことが沢山あるのに、私の口からは嗚咽しか出ない。
ちらっと星導くんは後ろを向いた後こちらを向き直して、制服の袖でゴシゴシ拭いていた私の腕を掴み、ゆっくり下ろして、「そんな強く拭いたら目が腫れちゃいますよ」と優しく涙を拭いてくれる。

hsrb「…少し、移動しましょう。歩けます？」

星導くんの問いに無言で頷く。すると星導くんの後ろからライくんがひょこっと顔を覗かせた。そして「オレが案内するね！」と言って私の手を掴み、歩き出した。近くにいたレイナは「君も一緒に来てくれる？」とライくんに聞かれ二つ返事で了承し、私の頭を撫でながら隣を歩く。星導くんは私の後ろに立ち、みんなからの視線を遮ってくれていた。

inm「本当ならオレ達以外を入れるのはルール違反なんだけど、Aちゃん達は特別だよ」

そうして着いた場所は空き教室だった。扉にある窓は内側から新聞紙が張られ中が見れないようになっており、「MECHATU-AのめっちゃE部屋！」と書かれた紙が貼られていた。みんなの秘密基地的なところなのだろうか。

ガラガラ、と扉を開けて中に入れてもらう。ゲームにお菓子、筋トレ道具など学校にそぐわない物がたくさん置いてあった。

inm「へへ、色んなものが置いてあるでしょ？でもここ使うのも物置くのも生徒会の人からちゃんと許可貰ってるから安心して！」

キョロキョロと見渡す私とレイナの様子を見てか、ライくんがふふん、とドヤ顔で話す。「まぁ正確にはウェンが胃袋を掴んだからなんですけどね」、という星導くんの言葉には頭にハテナを浮かべるばかりだった。まぁまぁ、とりあえず座って！、とライくんに言われ、適当に座る。