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桜が舞う道を、舞っている花びらは目を向けず、遠くに見える高校をまっすぐに見据え進んでいく。
私は今日からこの高校に入学する。ここらへんの高校で唯一ヒーロー科がある学校であり、ヒーローを目指すものはみんなここへ入学する。私もその中のひとりだ。
小さい頃、KOZAKA_Cの出現により避難指示が出されていたとき、私は家で一人留守番をしており、避難をするのが遅れてしまった。
母に教えてもらった記憶を思い出しながら走って避難場所へ向かっていたところ、運悪くKOZAKA_Cと遭遇してしまった。私は恐怖で足がすくみ動けなくなった。そんな私をヒーローが助けてくれたあの時から私の目標はヒーロになってみんなを救うことだった。
小さい頃の夢が今、叶おうとしている。その事実に私は胸が高鳴る。ドキドキを抑えながら校門の先のクラス表が張られているところへ歩く。といっても、ヒーロー科を希望する人が少ない故にヒーロー科のクラスは一つしかないが。
あと数分で入学式が始まるため、急ぎ足で体育館へ向かった。体育館は中学の体育館とは比べものにならない程広かったが、普通科+ヒーロー科の人数で人口密度が高くムシムシとしていた。
着慣れない制服はここらへんの中では唯一のセーラー服だ。少し暑いがデザインが可愛いためそんなことは気にならなかった。
体育館の端にあるヒーロー科の場所の中から自分の席を探し座った。周りを少し見渡すと、既に友達を作っている人も数人見かけられた。あまりそういうのが得意ではないが、ヒーローを目指すならそのくらい出来なければいけないのかも知れない。
頭を捻らせて考えていると、隣の人から腕をツンツンと突かれた。
俯いていた顔を上げ、隣を見ると緑色のメッシュが特徴的な人がこちらを見ていた。
inm「初めまして!オレ、伊波ライ!よろしくね」
にっこりと笑うその笑顔は中性的で、声は耳を通る聞きやすい声で、もう既にヒーローかと思ってしまう人だった。
ぱっちりと大きい目は私を見ており、自己紹介を促されていると気付き慌てて口を開く。
『私、AA、よろしくね』
inm「Aさんね、よろしく!オレワクワクしすぎてめっちゃ早くに着いちゃったからめっちゃ暇なんだよね〜」
『わかる、私もワクワクしすぎて家ちょっと早めに出たんだけど、乗る電車間違えてこんなギリギリになっちゃった』
inm「乗る電車間違える?!ww」
伊波くんは話し上手でもあり聞き上手でもあったため、凄く話しやすかった。あっという間に時間は過ぎ、入学式は始まった。
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作者名:Rin_0928 | 作成日時:2025年8月4日 8時


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