アイドルとは ページ28
箱を届けると一段落ついたのか、気を使ってくれたのか少しの休憩をもらった。
UNDEADの皆さんへの差し入れとして飲み物でも持っていこうかな、と考え自販機へと向かった。
外に出ると陽射しがまだ照り付ける中、開演まで二時間もあると言うのに沢山の人が並んでいた。
みんな、楽しみで堪らないんだなぁ。やっぱりアイドルって素敵なお仕事だ。
ずらりと並ぶ飲み物は完売してしまっているものも多かったが、幸いスポーツドリンクが残っていた。
お金を入れて四回ボタンを押せばメンバーの分のドリンクが音を立てて落下してくる。
ペットボトルを両手に抱え、スタジオへ向かおうと振り返った瞬間、視界がぼやける。
濡れた感覚に、笑い声？ううん、怒っているのかも。
何が起こったのかわからないまま、衝撃に閉じた目を恐る恐る開く。
そこには三人組の私より背の高い女の人達が。
Tシャツやネイルの色からUNDEADのファンだとわかった。
三人同時に話しているし、なんだかよくわからない罵詈雑言を浴びせられ、パニックに陥りつつもわかったのは蓋の空いたペットボトルを持つ方が恐らく晃牙推し、所謂愚民ども、らしいということだ。
ああ、さっき手伝ってもらったとき、いやもしかしたらその前にファンシーショップへ挨拶にいったときだろうか。見られていたのだろう。
確かに、プロデュース科の発足もまだ世間にはまだあまり認知されていないし、別の学科との制服の違いなんかも在校生でないとわからないところも多いだろう。
推しメンの近くに馴れ馴れしいやつがいたら怒ってしまうのも無理はないのかなぁ。
アイドルって夢を与える職業だもん。それを壊したのが、私なら…それはプロデューサー失格としか言いようがない。
一人反省会をしているともう一度水が…いや、これ水じゃないかも。砂糖が入ってる気がする。水のようなものが飛んでくる。
「なんとか言ってみろよ！」
と、言われて恐怖と戦いながら謝ろうとした時。
「あれ？なになに〜？どうしたの？うちのリーダーかわんこくんあたりか…無いとは思うけどプロデューサーが迷惑かけてしまいましたか？こちらからも謝罪を…」
「…羽風先輩…」
ここ数日で聞き慣れた声に安心しつつ、解決を任せてしまうのもどうかと思い声を出すと唇に指を当ててしーとされてしまった。
それからみるみるうちに女性たちが青ざめ。一人は泣いていたのかもしれない。いたたまれなくなって大声で
「あのっ…」
イメ画のような何かですね！読まなくても大丈夫ですよ！→←本番
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作者名：ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時：2018年2月12日 13時
