計らい。3 ページ3
「どうしたんだ〜?」
スタジオ内へ戻ると、紅茶の香りがする。今日のはオレンジペコだろうか。
に〜ちゃんに声をかけられて我に返る。
こういうことが珍しいからだろう。
「あ、いえ、あんず先輩がこれをって…。今開けてみてもいいですか?」
「もちろん!」
中から取り出した紙を眺める。
「…お仕事…?」
「また、お仕事が増えるんだぜ?」
いや…
目を輝かせて聞いてくる光くんに罪悪感を覚える。
「いえ…私に、でしょうか…」
この形式の仕事依頼は初めてなのでどうすべきか迷っているとに〜ちゃんが覗き込んでくる。
「どれどれ、見せてみ〜?」
真剣な顔で読み耽るに〜ちゃん。すると、
「やってみたかったら受けてみたらどうだ?いい経験にもなるしな〜それに、UNDEADには恩もあるだろ?」
意外な回答が。
「いいんですか?」
「ああ。丁度インタビュー終わってからの期間だしな〜?」
確かに、言われればそうだ。
すると横から光くんが飛び出してきた。
「に〜ちゃん、Aちゃん、仲間はずれにしないでほしいんだぜ〜?」
しゅん、とする光くんにに〜ちゃんが笑いかける。
「ああ、ごめんな。Aにプロデューサーとしての仕事が入ったみたいなんだ。応援してやれよ?」
「流石だな…やっぱり『お月見祭』の活躍が買われてるんですね!」
「う〜んそうだったら嬉しいんだけど、多分あんず先輩の都合がつかなかったから回ってきたって感じだと思いますよ」
そうだ。『お月見祭』の成功はRa*bitsの皆の手柄だ。私のお陰ではない。寧ろその件では迷惑しか掛けていなかったというか。
あと、強いて言うならプロデュース慣れの為だろう。
「それでも凄いですよ!UNDEADって強豪ですもんね…!」
それでも尚キラキラしている創くん。
う〜ん…私に務まるかなぁ…
不安にしていたらに〜ちゃんが声を掛けてくれた。
「お前なら大丈夫だと思うぞ。それにさらっと見た感じどちらかと言うとあんずよりお前向きっぽいしな?」
企画書は『DarkFancyLive』という仮タイトルのイベントのもので、商店街にある地下ライブハウスと近所のファンシーショップのハロウィンコラボイベントのようだ。
当日は限定グッズやドリンク等も出るようで混雑することが安易に予想される。
なんでこの仕事をUNDEADが…?考えていると
「まあ、お前の自由だけど…話を聞きに行ってみたらどうだ?」
今度はに〜ちゃんに背中を押されてしまった。
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作者名:ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時:2018年2月12日 13時