始動 ページ13
翌日。早速衣装に取り掛かる。
と言っても、もう時間もないので普段の衣装のスペアに今回のイベントに即したアレンジを加えるだけなのだが。
今日はその為に晃牙とファンシーショップへ出向いていた。
店主さんにイメージを聞き、材料はそのお店で揃えた方が良いと思ったからだ。
正直、この幼馴染みを連れてくる事に不安がなかった訳では無いが、一応UNDEADの誰かがいた方が良いとなった時…
朔間先輩は日差しがあるのでリタイア。
乙狩先輩、羽風先輩は初対面で気まずい。
しかも羽風先輩は本日は女性とデートらしく、お忙しいようです。
｢ええっ！そんなイベントがあるならデートの約束しなきゃ良かったかも〜｣
なんて言っていたので
｢そんな事を言ってはデート相手の方に失礼ですよ、楽しんできてくださいね｣
と返しておいた。この通りにしっかりと言えていたとは言っていないが。そんな旨の事を言ったと思う。確かにアイドルとしては不安な方向に才能があるのだがそれは寧ろコミュニケーション能力が高いと思うと今回の仕事では特に頼らせていただきたいものである。
という訳で暇だった晃牙に引率してもらっているが…
｢うおっ…何だこの店…香水か？匂いつよ…あ？｣
何だか失礼なことを言いそうだったので袖口を勢いよく引っ張ると睨まれた。
｢失礼ですよ｣
ここからはお店で店主さんとお話もするのでお仕事スイッチを入れる。
｢…ッチ。分かったよ、大人しくしてりゃいいんだろ｣
｢助かります｣
鼻がムズムズする、とか呟きながらついてくる晃牙。
店内に入ると可愛らしい装飾や商品、明るい雰囲気にふわふわとした音楽。その中で沢山の女の子たちがひしめき合っていた。
一度来てみたかったんだよね…
という気持ちが勝ってしまい、上を下を見上げていたら突然手を引かれる。
｢ぼさっとすんじゃねぇ。邪魔になってんだろうが。｣
周りが見えていなかったことに恥ずかしくなる。
｢…ありがとう｣
御礼を言い、すぐに手を離す。
｢ファンの方に見られたら大変でしたよね…ごめんなさい｣
ああ、そうだなとか適当に返事をされる。
暫くすると、レジが空いてきたので店主さんを呼びに行くことにした。
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作者名：ぽあぷるーじゅ。 | 作成日時：2018年2月12日 13時
