透明なラベンダー。３ (ページ19)

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金木犀ページ19

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ラウ"あんまりもたもたしてたら、Aさん、取られちゃいますよ？"

ラウールのやつ、何言ってんだか。

だいたい俺はAのことなんてなんとも思ってない。

数少ない同期の1人として、特別だと思っているだけだ。

目黒「おはようございます」

出社すると、Aはすでにいた。

『目黒くんおはよう(笑)』

目黒「おはよう。昨日は出張だったのに早いな」

『私、けっこうタフなの(笑)』

彼女は紙袋からお菓子の箱を出す。

『これ、出張のお土産！あとで配るね(笑)』

目黒「ああ、ありがとう」

『どれも美味しそうでさ、選びきれなくて迷っちゃった(笑)』

あれだけ憂鬱だと話していた出張だったのに、彼女は土産を選ぶ余裕すらあったようだ。

昨日、俺は2人のことが少しだけ気になっていたが、それも必要はなかったのかもしれない。

でも、夜景の写真が頭から離れない。

目黒「…あの、」

『ん？』

ラウ「おはようございます(笑)」

ラウールが来る。

『おはよう(笑)』

目黒「おはよ」

ラウ「あ、もしかして！」

『そう、お土産買ってきたよ(笑)』

ラウ「わーい！ありがとうございます(笑)」

完全にタイミングを失ってしまった。

上司「あ、そうだ、Aさん」

『はい』

上司「今日なんだけど、この資料を先方に持って行ってくれないかな──────────深澤と」

俺はそれを聞いて、考えるより先に言葉が出ていた。

目黒「俺が行きます」

＊