透明なラベンダー。３ (ページ11)

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お店を出ると、パラパラと雨が降っていた。

今日の天気は晴れ時々雨。

折りたたみ傘を取り出す。

阿部「さすが、準備がいいですね(笑)」

『はい。雨女ですから(笑)』

彼も傘を差す。

もう10月半ばで、肌寒い。

阿部「寒いですか？」

『少し、でも大丈夫です』

彼は着ていた薄手のコートを脱ぐ。

阿部「よかったら、これ着てください」

『ダメですよ、阿部さんが風邪ひいちゃいます』

阿部「Aさんが風邪をひく方が嫌です」

そう言って、私にコートを着せる。

『…すみません』

阿部「いえ(笑)」

彼は細身だけれど、私が彼のコートを着るとブカブカだ。

袖まですっぽりと隠れるため、あったかい。

ちょっといい匂いもする。

キツすぎない、自然な香り。

あまり嗅ぐとさすがに自分がおかしな奴すぎるので、普通を意識した。

阿部「もうすぐ冬ですね」

『阿部さんは冬は好きですか？』

阿部「冬は星がよく見えるので好きです(笑)」

『確かに、星が綺麗に見えますよね』

もうしばらく、星空を見ることはなかったな。

阿部「よかったら、ご一緒にどうですか？」

『え？』

阿部「星を見に」

私は驚き、彼を見る。

『いいんですか…？』

阿部「はい(笑)」

『ぜひ！(笑)』

と私が言うと、彼も嬉しそうに頷いた。

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