【オリオン】天狼の伴星【フロイ】

１４＝オリオン財団 ページ14

私は、いつフロイの隣にいられなくなっても可笑しく無い。




二年前、初めての外国。初めての同い年くらいの外国人の男の子。




いつからかは分からない。

一年後には当たり前のように彼を好いていると自覚していた。




異文化交流のギャップと言うのか、こんな人初めてだった。

会話しないで成立する程のお喋りで、一つのサッカーというスポーツに真っ直ぐで、


何より、私を普通の女の子として接してくれた。

私の家の事を余り知らなかったからかもしれないけれど、それはお互い様で。




初めて好きになった方と結ばれるなら…。


と、今まで許嫁という言葉に何も響かなかったが、

フロイを好きだと自覚してからは、許嫁と言う言葉は私の中で圧倒的に陽の言葉として捉えるようになっていた。




けれど、




『相変わらずだな、フロイとフィアンセは』

『仕方ないよ、ヴィクトール───』




本当に偶然だった。

学校で次の教室へ一人遅れて移動している時、見覚えのあるフロイのチームメイトとフロイの声が静かな中庭で響いて聞こえた。









『─────だって、僕とAが結婚する事は無いから』




…フロイにとって、許嫁という言葉は陰の言葉でしかなかったみたい。




こうして私の初恋は失恋に終わった。




…終わったけれど、そんなの私には関係ない。


だって、私達は親の意思で許嫁になったのだから。

フロイの意思なんて関係無い。私達に拒否権は無い。









私は、この立場を利用してフロイの隣に居続ける。




だからね、フロイ。私は今の立場を無くす訳にはかないの。




身勝手だけれど…フロイの隣にいたい。




フロイの隣にいる為には…イリーナ様に逆らっては駄目なの。









だから私は、オリオンに協力している。


フロイの蟠りのオリオンに。





…やっぱり、仲良くなってなくて良かった。


仲良くなっていたら、フロイの敵対するオリオンに協力してるなんて、苦しいもの。




「(いい子にしてるから…お願い、フロイ…。これ以上、私を嫌わないでね)」

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