太宰夫婦は何処か冷めている。【文豪ストレイドッグス】

揺ラギ流レテ移ロイデ ページ32

組合の従弟(アプレンティス)である少女、モンゴメリと中島の闘いから数日が経過した。あれから私は二人の異能の特徴と弱点を記録した資料を作成したり、標的の監視を続けたりと、少しだけ忙しい日々を送っている。

特務課へ送る資料は、今日の朝方漸く完成した。パソコンから纏め上げた資料を送信すると、私は自分の仕事机に頭から思いっきり突っ伏す。
ゴツッと、妙に生々しい音が部屋に響き、額にズキズキと痛みが走ったが気にしない事にした。徹夜には慣れているんだけど、今回は組合が絡んでいるという事も有り、特務課もピリピリした雰囲気だ。

はっきり云ってしまうと、空気が悪い。


「......はぁ、兎に角大きな仕事は一旦片付いたから、後は標的の監視報告を聞くだけよね」


標的である太宰 治の監視＿＿＿＿私の仕事なのだが、相変わらず別の監視役に任せっぱなしだ。
本来ならば、私が直接監視を行わないといけないのに、あの事があってから、何だか相手に近づく事が少し怖い。
けれど、何時迄も私が戻らない訳にはいかなかった。坂口さんの小言を聞くのは好い加減耳に蛸、嫌だけど久々に動こうと思う。

ピロンピロン......♪


「......!」


メールが届いた。

宛名を確認して見ると、私は思わず「うわァ......」なんて、あからさまに厭がっている様な声を出してしまう。
見覚えのあるアドレスだ。


「............噂をすれば何とやらッて奴かしら」


タイミングが良いというか、悪いというか。
私は大きな溜息を吐くと、取り敢えず徹夜明けでボロボロな身体と精神(こころ)を癒す為に風呂を沸かした。

端末に送られてきたメールに対する返信は、後で適当に返そうと思う。







____『君に逢いたい』

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