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*ケイト ページ11

ケイトside


初めて目にした時は本当に驚いた。



入学して少し経ち、日々真新しいことばかりの学校にも段々と慣れてきた頃。

今まで使っていなかった廊下を通る機会があった。

その時になるまで使っていなかったのは、別にその廊下に悪いウワサがあるから〜とか、立ち入り禁止〜だとかそんなに深いことではない。

教師達がその廊下をよく利用していることだってあとから知ったことだ。


縁がなかった、という言葉が合っているのかもしれない。

人にはそれぞれお決まりのことがある。
例えば、錬金術が終わって教室に戻る時はこのルートで、だとか。そういう決まりはないけど自分の中で意識的でも無意識的にでも習慣になってること。

新しい友達と移動するときにその廊下を初めて通った。
どっちのルートでも距離は一緒なんだけどオレはいつも別の方通ってた。


その時は、そういえばここの廊下初めて通るなぁー、なんて呑気に考えていたんだっけか。



ふと目をやった廊下の壁に彼女はいたのだ。


視線は奪われ、歩みも止まった。

こんなに綺麗な絵画は見たことがないと、ここまで完璧な肖像画は初めて見たと、本当に驚いた。


透き通るような白い肌。
ブロンドの絹のような髪は編み込まれてまとめられ、同じ色の長い睫毛に縁取られた、吸い込まれてしまいそうなほど綺麗なセルリアンブルーの瞳。
形のいい眉。
通った鼻筋。
赤く紅が引かれた程よい厚さの唇はゆるく弧を描いている。
裾を中心にシャンパンゴールドの刺繍が施されたアイボリーのドレスは形状から昔のものだと思うが、それでも浮いた感じがしない。
ティアラに抑えられ、かけられたベールが彼女をより遠い存在だと感じさせる。

いい所をあげればキリがない。見れば見る程惹き込まれていく。

彼女を描いた画家に賞賛を送りたいし、モデルの女の子のことが知りたくなった。

学園にいる他の肖像画達のように話したり動いたりしないことへの疑問は、同じ学年のヴィル・シェーンハイトくんのような魅力のある美しい彼女に見惚れて、後から気がついたことだ。


友人に肩を揺すられてから、息の仕方を忘れるほど見惚れていたことに気付いた。

*ケイト→←9話 お友達


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ダイヤのキャンディ


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ななし(プロフ) - プリメロンさん» ありがとうございます!そう言ってもらえるとすごく励みになります…!社畜の身なので頻繁に更新することは叶いませんが、これからも息抜きに書いていきたいと思っております (2021年6月8日 17時) (レス) id: edbe6aadbb (このIDを非表示/違反報告)
プリメロン - ロザリアちゃんが可愛くて大好きです。続きが楽しみです。 (2021年6月8日 13時) (レス) id: b71badc53a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななし | 作成日時:2020年7月12日 6時

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