プリンが8個 ページ8
空いている手で彼の手をゆっくり離す。
このタイミングを待っていたかのように夜風が吹いて前髪が靡いた。
俯いていた頭を軽く上げて目の前の彼の目を見る。
こんなくっきりとした視界で人の顔を見たのはいつぶりだろうか。心臓がバクバクとうるさい。何を言われるのかと身構える。
「綺麗」
『…へ』
目を見つめながら言われると妙に恥ずかしくて、顔を逸らした。
前髪を元に戻してもどうせ風でまた崩れるだろう。それに、顔を手で隠すなんて相手に失礼だと、直感的に思った。
これまでの私なら隠していただろうけど、何故かこの人には安心感みたいなものを感じた。裏表が無さそう、純粋そう。
顔を逸らしたことと私が言葉を発さないせいで無言の時間が続く。
少し気まずくなってきた。真実を話したっていいのかもしれない。いや、安直に考えすぎかな。
「あの喫茶店にいたのってA、だよな？」
彼も沈黙に耐えられなかったようで緊張感のある少し震えた声でそう尋ねられた。普段教室では聞かない優しい声だった。
『う、うん、そうだよ』
人と話すことに慣れてなくて小さな声でつぶやいた。辺りが静かなのが幸いだ。どうやら私の声はしっかり彼に届いているようである。
「そっ…かぁ〜〜こんな近くにいたんだ」
へらっと笑う上鳴くんが横目に入る。思わず顔をそちらに向けてしまった。
「ね、俺と仲良くなろーよ」
しっかりと目が合った。恥ずかしかったけど何故だか逸らすことができない。月明かりに背を向けていて影が落ちたその金色の瞳は、輝いて見えた。
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とろん(プロフ) - 紺。＠水分補給さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！まったり更新していきますので気長にまっていただけると嬉しいです^ - ^ (2021年10月17日 23時) (
レス) id: 44d692106b (このIDを非表示/違反報告)
紺。＠水分補給(プロフ) - はぅわ…めちゃめちゃ好みです…！なんか、その、(語彙力皆無)とにかくめちゃ面白いし、神作確定ですね！もっと伸びてぇぇぇ！！応援してます！無理のない範囲で更新頑張ってください！ (2021年10月17日 2時) (レス) @page11 id: 8376f1dee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とろん
| 作成日時：2021年10月13日 19時
